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4月6日の日本の昔話



キツネの 仕返 しかえ し 【 山伏 やまぶし と 狐 きつね 】

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むかしむかし、 村人 むらびと から 家族 かぞく の 病気 びょうき 回復 かいふく のお 祈 いの りを 頼 たの まれた 山伏 やまぶし が 村 むら へ 出 で かけて 行 い く 途中 とちゅう 、 川 かわ の 草 くさ むらで 一匹 いっぴき のキツネが 昼寝 ひるね をしているのに 出会 であ いました。
「よく 寝 ね ておるな。・・・よし、おどかしてやれ」
　 山伏 やまぶし はキツネの 耳 みみ に、ほらがいを 当 あ てて、
「ブオーッ！」
と、 一 ひと 吹 ふ きしました。
「コンコーン！」
　 驚 おどる いたキツネは 飛 と び 上 あ がったはずみで、 川 かわ に 転 ころ げ 落 お ちてしまいました。
　それを 見 み た 山伏 やまぶし は、お 腹 なか を 抱 かか えて 大 おお 笑 わら いです。
「ワハハハハッ。これはゆかい」

　さて、 山伏 やまぶし は 間 ま もなく、お 祈 いの りを 頼 たの まれた 家 いえ に 到着 とうちゃく しました。
　すると 主人 しゅじん が、 落 お ち 込 こ んだ 顔 かお で 出 で て 来 き て 言 い いました。
「 残念 ざんねん ながら、おいでいただくのが 一足 ひとあし 遅 おそ く、 病気 びょうき の 女房 にょうぼう が 死 し んでしまいました。 人 ひと を 呼 よ んで 来 く る 間 あいだ 、 留守 るす をお 願 ねが いいたします」
「いや、それは」
「では、 頼 たの みましたよ。 女房 にょうぼう は 奥 おく の 部屋 へや です。せめて 女房 にょうぼう が 成仏 じょうぶつ 出来 でき る 様 よう に、お 祈 いの りの 一 ひと つもあげてください」
　 主人 しゅじん はそう 言 い うと、どこかへ 行 い ってしまいました。
「 何 なに とも、 嫌 いや な 事 こと を 頼 たの まれたものだ。だが、 仕方 しかた がない」
　 山伏 やまぶし が 奥 おく の 部屋 へや に 行 い ってみると、 部屋 へや の 真 ま ん 中 なか にびょうぶが 置 お かれていました。
　そのびょうぶの 向 む こうには 死 し んだ 女房 にょうぼう が 寝 ね ているのですが、 山伏 やまぶし は 気味 きみ が 悪 わる くてびょうぶの 向 む こうに 行 い く 気 き がしません。
「 早 はや く、 帰 かえ って 来 こ ないかな」
　 山伏 やまぶし が 主人 しゅじん の 帰 かえ りを 待 ま っていると、 突然 とつぜん 、びょうぶがガタガタと 動 うご き 出 だ しました。
「わあ、わあ、わあ」
　 山伏 やまぶし が 情 なさ けない 声 こえ をあげながらビックリしていると、びょうぶがガタンと 倒 たお れて、その 向 む こうから 死 し んだはずの 女房 にょうぼう が 髪 かみ を 振 ふ り 乱 みだ しながら 近寄 ちかよ ってきました。
「あなたが、もっと 早 はや く 来 き ていれば、わたしは 死 し なずにすんだのに。・・・うらみますよ」
　 恐 おそ ろしさに 腰 こし を 抜 ぬ かした 山伏 やまぶし は、 後 あと ずさりしながら 死 し んだ 女房 にょうぼう に 謝 あやま りました。
「すまん、おれが 悪 わる かった。 謝 あやま る。 謝 あやま るから、もう 近寄 ちかよ るな」
　そして、どんどん 後 あと ずさりしていった 山伏 やまぶし は、 急 きゅう に 床 ゆか がなくなるのを 感 かん じて、そのまま 川 かわ の 中 なか へドブーン！　と、 落 お ちてしまいました。
「あれ？　ここはどこだ？」
　 辺 あた りを 見回 みまわ すと、 山伏 やまぶし が 落 お ちたのはキツネをおどかした 川 かわ の 中 なか です。
　さっきまでいた 家 いえ は、どこにもありません。
　 山伏 やまぶし は、ようやく 気 き づきました。
「そうか、おれはさっきほらがいでおどかしたキツネに、 仕返 しかえ しをされたのか」

　その 頃 ころ 、 山伏 やまぶし にお 祈 いの りを 頼 たの んでいた 家 いえ の 人 ひと たちが、 山伏 やまぶし が 来 く るのが 遅 おそ いので 迎 むか えに 出 で てきました。
　そして 川 かわ の 中 なか にいた 山伏 やまぶし を 見 み つけて、 山伏 やまぶし から 事情 じじょう を 聞 き いた 家 いえ の 人 ひと たちは、
「キツネに 化 ば かされる 様 よう な 山伏 やまぶし では、お 祈 いの りをしてもらっても 無駄 むだ だ」
と、 言 い って、 山伏 やまぶし に 頼 たの んでいたお 祈 いの りを 断 ことわ ったそうです。

おしまい

おまけ
ささずんと昔話講座　第08話【山伏と狐】

読者の「NS.MOOOON」さんの投稿作品。

知っているようで知らない日本昔話を、ゆっくりの解説でずんちゃんとささらちゃんが学んでいく動画です。