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6月23日の日本の昔話
なぞかけ姉さま
做令仔个細阿姊
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、男前(おとこまえ)の若者が、お伊勢(いせ)参りに出かけました。
頭擺頭擺,一個當有男人氣概个後生仔去伊勢拜拜。
お伊勢まいりをすませて茶店で一休みしていると、絵から抜け出したような美しい姉さまが、同じ茶店に立ち寄りました。
伊勢拜拜過後在茶館休息一下時節,一個像對圖畫肚走出來、當靚个細阿姊來到共一間茶館。
(はあー。世の中には、これほどきれいな姉さまがいるのだな)
(ha24,世上仰會有恁靚个細阿姊哪。)
若者は、しばらく見とれていましたが、
這個後生仔看到戇神忒,
「いかんいかん、早く今夜の宿(やど)を探さないと、日が暮れてしまう」
講:「遺憾,遺憾,無較早兜尋暗晡夜愛戴个旅館做毋得,看等日頭會落山了。」
と、町はずれのはたご屋(→旅人のための宿)にわらじを脱ぎました。
過後就在鎮郊客店摎草鞋脫忒。
すると同じはたご屋に茶店で見かけたあの姉さまが入ってきて、若者の隣の部屋に通されたのです。
過後,在茶館見過該個細阿姊走落共一間客店,戴在後生仔隔壁房間。
「あんなきれいな姉さまと、同じはたご屋で泊まりあわせるとは、なんと言う幸運。
「摎恁靚个細阿姊歇在共一間客店,𠊎仰恁好運哦。
これだけでも、お伊勢参りに来たかいがあったわ。
準講恁樣,這擺來伊勢還係有價值。
しかし、どこのお人だろう。せめて名前だけでも知りたいものだ」
毋過,係哪位人,至少乜想愛知厥名仔。」
その夜、若者は胸がドキドキして、なかなかねつけませんでした。
該暗晡,後生仔心肝哱哱跳,睡毋落覺。
あくる朝、若者は寝坊してしまいました。
第二朝晨,後生仔睡過䢍了。
隣の部屋の姉さまは、もうはたご屋を出た後です。
隔壁房間个細阿姊離開客店了。
「ああっ、なんたる事だ。あのような美しい姉さまには、もう二度と会えんだろう」
「啊,壞蹄了,無可能再過著恁靚个細阿姊。」
若者はがっかりしながら出発し、次の宿場のはたご屋に泊まったところ、何と隣の部屋にあの姉さまがいるではありませんか。
後生仔當失望个離開,繼續行到下一隻客店歇,仰會隔壁房間裡肚又係該個細阿姊?
「これは、お伊勢さまのお引き合わせに違いない。よし、明日の朝は早起きして、姉さまに名前を聞かせてもらおう」
「這定著係伊勢神明牽線,好,韶朝晨早兜䟘床,請教細阿姊个名仔。」
若者は姉さまの事ばかり考えて、この晩もなかなか寝つけませんでした。
這個後生仔歸暗晡斯想細阿姊个事,又係睡毋落覺。
次の朝、またもや寝坊した若者があわてて隣の部屋を訪ねてみると、もう姉さまの姿はありませんでした。
第二日朝晨,睡過䢍个後生仔,慌慌張張走去隔壁房間看,細阿姊無魂無影。
「ああっ、一度ならず二度までも・・・」
「啊,一擺過一擺...」
若者がガックリしていると、はたご屋の番頭(ばんとう)がやってきて言いました。
後生仔感覺失望時節,客店个經理過來。
「お客さま。この部屋に泊まった娘さんから、これを渡すように頼まれました。
「這位人客。歇在這間个細阿姊喊𠊎交分你。」
「なに、姉さまが!」
「麼个,細阿姊!」
若者が手紙を広げてみると、
後生仔打開這封信仔來看時節,
《恋しくば、たすねきてみよ十七の国。
《你若係想𠊎,該你就來拜訪17个國家。
トントン町のその先の、くさらぬ橋のたもとにて。
在ton ton鎮郊,在毋會歿忒个橋脣。
夏なく虫の、ぼたもちが待つ》
夏鳴蟲个,紅豆粄等待》
と、書いてありました。
寫等。
「はて、なんじゃ、こりゃ?なぞなぞの歌のようだが、さっぱりわからん」
「唉哦,麼个東西?這啊?就像一首揣令仔歌,𠊎一點也看毋識。」
若者がいくら考えても、この歌に込められた意味がわかりませんでした。
無論後生仔仰般想,都看毋識這首歌詞个意思。
それでも、あの姉さまからもらった大事な手紙です。
雖然係恁樣,係該細阿姊寄來个重要信仔。
若者は村へ持って帰ると、その手紙を大切にしまいました。
後生仔摎信仔帶轉村莊,像寶樣保存起來。
「あーぁ、姉さまに会いたいな。歌の意味を読み解いて、姉さまに会いたいな」
「啊,還想見細阿姊哪,想了解這首歌仔个意思,愛見細阿姊哪。」
あれから何日もたちましたが、若者は姉さまの事が忘れられません。
自從該擺以後,經過盡多日,後生仔無法度毋記得細阿姊个事。
その想いは、日に日に増す一方です。
該思念一日一日增加。
そんなある日、旅の坊さんが村を通りかかったので、若者は姉さまからもらった手紙を読み解いて欲しいと頼みました。
一日,雲遊和尚經過村莊時節,後生仔請佢看細阿姊寄來个信仔。
するとさすがは、物知りの坊さんです。
過後,正經係上知天文下知地理个雲遊和尚。
坊さんは手紙を読むと、若者にこう言いました。
看忒信仔後,和尚摎後生仔講:
「いいかね。十七の国とは、年の若い国だ。
「毋好意思講、聽好,十七个國家就係後生國家。
つまり、若狭(わかさ→福井県)の国じゃ。
總講係,若狹國(若狹→福井縣)。
そしてトントン町とは、おけを作っている町の音だから、これはおけ屋町じゃ。
頓頓鎮(Ton ton Town)係做木桶街路發出个聲,所以這係木桶街。
くさらぬ橋とは、石の橋。
毋會歿忒个橋係石橋。
夏なく虫といえば、セミ。
夏鳴蟲就係蟬仔。
ぼたもちは、おはぎの事じゃ。
紅豆粄係包紅豆𩜄个粢粑。
つまり、こうじゃ。
就係恁仰。
『恋しいなら、若狭の国へ訪ねて来てください。おけ屋町の先の石橋のたもとにある、蝉屋(せみや)のおはぎが待っていますよ』
『若係想佢,請來若狹國。在木桶街尾石橋脣,蟬店个紅豆粄細阿姊在該位等你。』
よかったの。
還好哪。
お主のいとおしいおはぎさんが、待っておるぞ。
得人惜个細阿姊在該等你哦。
はやく、訪ねてゆきなされ」
較遽去尋佢。」
「ヨッシャアーー!」
「yosshishah!」
若者は大喜びで村を飛び出すと、若狭の国のおけ屋町の先の石橋のたもとにある、『蝉屋』という大きな店に、おはぎさんを訪ねました。
這個後生仔非常歡喜瀉出村莊,在若狹國木桶街尾石橋脣一間安到『蟬』个大商店裡肚尋著紅豆粄店个細阿姊。
すると店の中から、あの姉さまが出て来たのです。
該個細阿姊對商店肚出來。
「あなたさまが来るのを、今か今かと待っておりました。さあ、おあがりくださいな」
「一直在該等你來。還好哪。」
その後、若者は、おはぎさんと両親に迎えられ、めでたくお婿さんになりました。
過後,這個後生仔受到細阿姊摎爺哀歡迎,招做細郎。
註:わらじとは、わらで足形に編み、爪先にある2本のわらおを左右の縁に通し、足に結びつける履物のことで、わらじ作りは、農民が仕事の少ない冬の間に行う、主な内職でした。
註:1、禾桿鞋係用禾桿照腳形編織个鞋,腳趾用兩條稈索分做左右兩片穿過,䌈在鞋頂。編織禾桿鞋,在冬下較閒時節,這係農民主要工作。
註:番頭(ばんとう)とは、商家の雇人の頭で、店の万事を預かる者のことです。
簡単に言えば、 お店で働く人のリーダーのことです。
註:2、番頭係商家僱用个經理,負責商店所有工作。
簡單講,佢係所有工人个頭仔。
おしまい
煞咧
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