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8月18日の日本の昔話
金の粒を出す馬
新潟県の民話→ 新潟県情報
にほんご(日语) ・にほんご(日语)&ちゅうごくご(中文)
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
むかしむかし、新潟のある山の近くの村に、仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人はおじいさんが山で取ったたきぎを、町で売って暮らしています。
ある年の暮れ、おじいさんはお正月の品々を買うために、町へたきぎを売りに出かけました。
ですが買えたのは、串柿(くしがき)とスルメだけです。
「串柿とスルメでは、ばあさんががっかりするだろうな」
おじいさんはとぼとぼ帰りながら大川の橋の中ほどまで来ると、背中のしょいこにくくりつけた串柿とスルメを川に投げ込みました。
「ほれ。わしから川の者への歳暮じゃよ」
そして長い橋を渡りきると、いつの間にか橋のたもとには美しい娘がいて、おじいさんに頭を下げました。
「先ほどは、ありがとうございました。お礼をしたいので、家においでください」
「お礼? わしはあんたに、何もしてないが」
「いいえ。串柿とスルメの歳暮を、確かに頂きました。家まで案内しますので、目をつぶってください」
おじいさんがわけも分からずに目をつぶると、すぐに娘が言いました。
「さあ、家に着きました。目を開けていいですよ」
「着いたといっても、わしは一歩も歩いておらんが。・・・おおっ!」
おじいさんが目を開けてみると、何と目の前に立派なご殿があるのです。
ご殿に案内されたおじいさんは、おいしい食べ物ををたくさんごちそうになりました。
そして帰ろうとすると、娘の母親が絹の布に包んだきれいな手箱をくれました。
「この二つの引き出しには、小さな馬とお米が入っています。馬にお米をやると、金の粒を出してくれます。でも、誰にも見つからず、誰にも言ってはいけませんよ」
おじいさんが手箱を受け取ると、いつの間にか橋のたもとへもどっていました。
さて、家に帰ったおじいさんは、おばあさんには内緒(ないしょ)で米が入った引き出しから米粒を一つ取り出して、小さな馬にやりました。
すると馬はすぐに、お尻から金の粒を出しました。
「おおっ、本物の金だ」
それからおじいさんは家のお金がなくなると、こっそり奥の部屋へ入っては小さな馬に米粒を食べさせて金の粒を出させました。
ある日の事、おばあさんはおじいさんの留守中に、押し入れに隠してあるきれいな手箱を見つけました。
「これは、何だろうね」
引き出しを開けてみると、中に米が入っています。
もう一つの引き出しを開けてみると、中に小さな馬がいて、
「ヒヒヒーン」
と、鳴きました。
「おや、腹が空いておるんか」
おばあさんが米を一粒やると、馬はすぐにお尻から金の粒を出しました。
「なるほど。ちかごろは金回りが良いと思ったら、おじいさんは、これで金の粒を出していたんじゃな」
おばあさんはうれしくなって、どんどんお米をやりました。
すると小さな馬はお米を食べては、ポトン、ポトンと金の粒を出します。
そしてお腹がいっぱいになった馬は元気に部屋の中を走りまわり、ポトン、ポトンと金の粒を出し続けました。
「こらこら。もう戻らんか。おじいさんに見つかったら、大変じゃ」
おばあさんが馬を追いまわすと、馬はお尻から金の粒を出しながら庭へ飛び出し、佐渡が島へ逃げていったのです。
佐渡が島で金がたくさん取れるようになったのは、そのためだと言われています。
おしまい
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