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    福娘童話集 > きょうの日本民話 > 8月の日本民話 > タマゴから生まれたお坊さん 
      8月31日の日本民話 
          
          
         
  タマゴから生まれたお坊さん 
  大阪府の民話 → 大阪府情報 
       むかしむかし、行基(ぎょうき)というえらいお坊さんがいました。 
   行基は生まれ故郷である大阪やその近くで、弟子やたくさんの信者(しんじゃ)たちと一緒に橋や道などをなおしました。 
   また、まずしい人たちのために無料の宿泊所(しゅくはくじょ)をつくり、その数だけでも三十にのぼったといいます。 
   多くの人たちのしあわせと、世の中のためにつくした行基は、五十七歳になった天平十七年(七四五年)、お坊さんで一番高い位の大僧正(だいそうじょう)をさずけられました。 
   橋などがこわれて人々がこまっているときくと、すぐにそこへでかけていって修理をします。 
   行基がいくところ、いつも千人もの信者たちがあとにつづいて、工事を手伝っていたといわれています。 
   さて、行基がふるさとに帰ったときの事です。 
   池で魚をとって食べていた若者たちが、 
  「お坊さんというのは生の魚を食べないものだというが、どうだ。ためしてみよう」 
  と、イタズラを思いたちました。 
   そして行基に、魚をうすぎりにしてお酢につけたなますをつくってすすめました。 
   行基はいただいてお礼をいうと、そのなますを口にいれてかんでから、すぐにかたわらの池へいってはきだしました。 
   するとなますは、たくさんの小さな魚になって水の中を泳ぎだしたのです。 
   ビックリした若者たちは、自分たちがしたイタズラをはずかしく思い、行基に心からあやまったのでした。 
   さて、この行基というお坊さんは、ふつうの赤ちゃんよりも二か月も長く、お母さんのおなかにいて、やっと生まれたといわれます。 
   それと不思議な事に、生まれるときにお母さんのおなかの中からでてきたのは、なんと丸いタマゴだったのです。 
   両親はおどろきましたが、かといって、そのタマゴをすてるわけにもいかず、鉢(はち)にいれて家の門の前にあるエノキの木の枝につるしておきました。 
   そして夕方になると、そのタマゴから赤ちゃんの泣き声がきこえてきたのです。 
   両親が赤ちゃんを家の前にすてていった人がいるのかと思って、いそいでいってみると、木の枝につるした鉢の中の卵がわれて、男の赤ちゃんが生まれていたという事です。 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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