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    福娘童話集 > きょうの日本民話 > 9月の日本民話 > まま母と地蔵さま 
      9月4日の日本民話 
          
          
         
  まま母と地蔵さま 
  秋田県の民話 → 秋田県情報 
       むかしむかし、秋田県の能代市(のしろし)というところに、ある夫婦が住んでいました。 
   なかなか子どもがうまれないので、二人して近くのじぞうさまに毎日おまいりをして、 
  「どうか、子どもをさずけてくだされ」 
  と、たのみしました。 
   そのかいがあって、あくる年、男の子がうまれました。 
   夫婦はたいへんよろこんで、名を信吉(しんきち)とつけました。 
   しかし、信吉が五つのときに母親が死んでしまい、こまった父親は新しい妻(つま)をむかえました。 
   やがてあたらしい母は男の子をうむと、その弟の方ばかりかわいがり、信吉をいじめるようになりました。 
   ある日の事、母はわずかなお金をもたせて、信吉をおつかいにだしました。 
   しかし、信吉はなかなか戻ってきません。 
  「まったく! あの子は何をしているんだ!」 
   イライラした母は信吉が帰ってくるなり、するどくとがった火ばし(→炭火などをつかむ、金属製のはし)をもって、信吉におそいかかったのです。 
   信吉がビックリして逃げだすと、母は火ばしをもったまま後をおいかけて、人気のない道で火ばしを信吉の頭のうしろへつきさしたのです。 
  「ギャアーー!」 
  と、いって、信吉はバッタリとたおれました。 
  「ふん! 早く帰ってこないお前がわるいんだ」 
   母は家へもどると知らんぷりをして、父親がかえってきても、 
  「まったく、どこまで遊びにいっているんだ」 
  と、ごまかしていました。 
   夜になって三人きりで夕はんを食べようとしたとき、家の戸があきました。 
   なんとそこには、信吉が立っていたのです。 
   ビックリした母は、走りよって信吉の頭をマジマジと見ました。 
  「???」 
   信吉の頭には、火ばしでさされたあとはありません。 
   母は夜中になると、こっそり家を抜け出して、信吉を刺し殺した場所に行ってみました。 
   するとそこには信吉ではなく、お地蔵さんが転がっていたのです。 
  「も、もしかして!」 
   そのお地蔵さんの頭を見てみると、なんと、火ばしがささったままではありませんか。 
  「ああ、わたしは子どもになんて事をしたんだ。すまねえ事した。かんにんしてけれよ」 
   母は家に帰ると父親と信吉に今日の事を全部話して、二人に泣いてあやまりました。 
   そしてその日から、母はやさしい母親になったという事です。 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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