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1月14日の日本の昔話



左甚五郎(ひだりじんごろう)の竜
左甚五郎个龍
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客家語 : 鄧文政(ten33 vun55 zhin11)

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より) りゅう

　むかしむかし、宮津(みやず)地方では、田植えが終ったにもかかわらず一滴の雨も降らなかった事がありました。
　頭擺頭擺，在宮津該地方，田蒔好咧，毋過天公毋落半滴水。

　困った村人たちは、「せっかくの稲が、これでは台無しだ。雨が降らないのは水の神さま、きっと竜神さまのたたりに違いない」と、成相寺(なりあいじ)の和尚さんに、雨乞いのお祈りを頼んだのです。
　村民毋知仰結煞，講：「辛辛苦苦種个禾仔，因為天旱生毋起來，毋落水係水神、定著係龍神在該作怪。」
就去成相寺拜託和尚求水。

　すると和尚さんは一晩中お経を唱えて、仏さまからいただいたお告げを村人たちに教えました。
　和尚歸暗晡在該頌經，想求佛祖開示來教村民。
　和尚講神明指示：

「何でも、この天橋立(あまのはしだて)に日本一の彫り物名人が来ておるそうじゃ。
「聽講，有一個日本最會个雕刻專家來到天橋立該位，

　 生き物を彫れば、それに魂が宿るといわれるほどの名人らしい。
　人講佢若係刻生个東西，像會連靈魂放落裡背肚去該程度个名人。

　 その名人に竜の彫り物を彫ってもらえば、それに本物の竜の魂が宿り、きっと雨を呼ぶであろう」
　假使請得著這個專家來刻龍，然後摎龍个靈魂放落去，定著會帶來水敢。」

　 そこで村人たちが手分けをして探してみると、和尚さんの言う通り、左甚五郎(ひだりじんごろう)という彫り物名人が天橋立の宿に泊まっていたのです。
　過後，村民分開來去尋，正經照和尚講个左甚五郎這位雕刻專家來天橋立歇宿。

　 村人たちの熱心な願いに、左甚五郎は深くうなずきました。
　對村民誠心个拜託，左甚五郎頷頭答應佢兜，講：

「仏さまのお告げに、わたしの名前が出てくるとは光栄です。
　わかりました。
　未熟者ですが、やってみましょう」
「佛祖个指示肚，講到𠊎个名仔實在光榮，了解，無幾熟練，無試刻看啊仔。」

　 しかし引き受けたのは良いのですが、左甚五郎には竜がどんな姿なのかわかりません。
　答應佢兜係盡好个事，毋過，左甚五郎龍生著麼个樣仔都毋識看過，

　 他人が描いたり彫ったりした竜の絵や彫り物は、今までに何度も見た事があるのですが、
　別人畫个、抑係刻个龍，到這下為止看過幾擺，

　 しかしそれはその人が考えた竜の姿で、本物の竜ではありません。
　毋過，該係照佢兜个想法，做出來龍个形投，毋係正經个龍。

「他人が作った物の真似事では、それに魂が宿る事はない」
「模仿別人个作品，無辦法摎靈魂放落去。」

　 そこで甚五郎は成相寺の本堂にこもり、仏さまに熱心にお祈りをしました。
　所以，甚五郎留在成相寺正殿無出來，誠心祈求佛祖：

「仏さまのお導きにより、竜の彫り物を彫る事になりましたが、わたしは竜を見た事がありません。
「𠊎遵照佛祖你个指示來刻龍，毋過𠊎毋識看過龍，

　 名人と言われていますが、いくらわたしでも見た事もない物を彫る事は出来ません。
　雖然分人講係名人，仰般也刻毋出無看過个東西。

　 お願いです。どうぞ、竜の姿を拝ませて下さい」
　拜託，請你顯現龍个形態分𠊎看一下。」

　 そして数日後、甚五郎の夢枕に仏さまが現われて、こう言ったのです。
　幾日以後，甚五郎發夢夢到佛祖，就摎佢講：

「甚五郎よ。
「甚五郎啊，

　そなたの願いを叶えてやろう。
　你个願望𠊎會分你達成。

　 この寺の北の方角に深い渕(ふち)がある。
　這間廟个北方有一隻深潭，

　 その渕で祈れば、きっと竜が現れるはずじゃ」
　在該位祈求定著龍會出現。」

「はっ、ありがとうございました！」
「ha，承蒙你！」

　 さっそく甚五郎は案内人の男と二人で、世屋川(せやがわ)にそって北の方へ進んで行きました。
　左甚五郎遽遽尋一個帶路个人，二儕順等世屋川直直向北方行等去。

　 しかし奥へ進むにつれて人の歩ける道はなくなり、とうとう案内人は怖がって帰ってしまい、甚五郎は一人ぼっちで奥へと進んだのです。
　毋過，行落到深山肚連落脚都有問題，最後帶路个人驚到會死先轉去咧，伸著甚五郎自家一儕人去深山肚。

　 険しい道でしたが、竜を見たいという甚五郎の心には、恐さも疲れも感じませんでした。
　雖然路途盡危險，甚五郎一心想愛看著龍，所以不會感覺著驚抑悿。

　 そしてついに甚五郎は、竜が現れるという、大きな渕にたどり着く事が出来たのです。
　經過千辛萬苦最尾來到人講龍會出現个大深潭。

　 甚五郎は岩の上に正座をすると、そのまま三日三晩、一心に祈り続けました。
　甚五郎在石頭頂坐等正正，連連三日三夜誠心祈求。

(この渕に住む竜よ。一目でよい、一目でよいから、その姿を見せてくれ)
這隻深潭肚戴个龍噢！你愛出現分𠊎睞一下，一下仔就好。

　 すると、どうでしょう。
　過後，變麽个情况呢？

　 急にあたりが暗くなったかと思うと、大粒の雨がバラバラと降り始め、渕の奥から大きな竜が姿を現わしたではありませんか。
　黏時深潭个周圍變到天烏地暗，大水點pia33 pia33滾開始落下來，潭肚大尾个龍毋係現身了嘎？！

　竜は口からまっ赤な火を吐きながら、今にも甚五郎に襲いかかろうとしました。
　對龍口噴出紅紅个火，看等就會燒著甚五郎了。

　 しかし、甚五郎は逃げません。
　毋過，甚五郎並無逃走。

　 その竜の姿をまぶたに焼き付けようと、まばたきもせずにその竜を見つめました。
　該龍个樣仔烙到目珠肚樣，佢就目金金緊看該條龍。

　 そして竜は真っ直ぐ甚五郎に向かって来て、身動き一つしない甚五郎にぶつかる直前に、すーっと消えました。
　龍就直直向甚五郎飛過來，飛到膴身無停無動个甚五郎面前，sud5聲，就毋見忒咧。

　 その途端に、甚五郎の全身にあふれんばかりの力がみなぎりました。
　該量時甚五郎歸身力量，

　 まるで竜の霊力が、甚五郎の体に宿ったかのようです。
　就像龍个靈力通棚走落甚五郎膴身裡肚樣。

「おおっ！　竜を見た！　わたしは竜を見たぞー！」
「唉哦！看著龍！𠊎看著龍了！」

　 甚五郎は雄叫びを上げると急いで成相寺に戻り、それから何日も休む事なく、一心に竜を彫り続けました。
　甚五郎大聲噦噦嘶嘶，遽遽走轉成相寺，幾下日無歇睏專心在該刻龍。

　 そしてやっと彫りあがった竜が成相寺にかかげられ、雨乞いの祈りが行われたのです。
　總算刻好个龍，安在成相寺開始求水。

　 すると不思議な事に、今まで晴れていた空が急に曇ると、ザーザーと大雨が降り始めたのです。
　想毋著个事情發生了，本旦出日頭，一下仔就變烏陰天，續等開始落大水。

「雨だ。雨が降ってきたぞー！」
「水，水落下來了！」

「竜のおかげだ！　甚五郎さまのおかげだー！」
「係龍个庇蔭！甚五郎先生个庇蔭！」

　 村人たちは大喜びです。
　村民大家當歡喜。

　 そして今にも枯れそうだった稲も、みるみるうちに元気になりました。
　這下看起來燥絲燥絲个禾仔，看等一下仔恢復元氣轉青了。

　 この事があってから、甚五郎が竜に出会った渕は『竜ヶ渕(りゅうがふち)』と呼ばれる様になり、甚五郎が彫った竜は今も成相寺に大切に残されているそうです。
　因為這件事情，甚五郎看著龍出現个深潭，大家喊佢『龍潭』，聽講甚五郎刻个龍到這下還盡珍貴个保留在成相寺。

おしまい
煞咧