福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 5月の百物語 >宝蔵寺のお坊さん

5月17日の百物語

宝蔵寺のお坊さん

宝蔵寺のお坊さん
茨城県の民話茨城県情報

日本語 ・日本語&中国語

♪音声配信(html5)
音声 ひかる

 むかしむかし、ある海辺(うみべ)の村に、宝蔵寺(ほうぞうじ)というお寺がありました。
 この宝蔵寺のお金は、お坊さんと村の漁師(りょうし)たちが相談をして使う決まりになっていたのですが、新しくやって来たお坊さんが漁師たちに内緒で、自分勝手にお寺のお金を使ってしまったのです。
 それを知った漁師たちは怒って、お坊さんをどうするかと相談をしました。
「あんな坊さんに、寺をまかせる事は出来ん。すぐに追い出そう」
「追い出すだけでは駄目だ! その前に、ひどくこらしめてやらないと」
 そこである夜、お坊さんをこらしめようと考えた漁師たちがお坊さんをお酒に誘い出して、ぐでんぐでんに酔っ払ったお坊さんをお寺の古池へと突き落としたのです。
「はん、そこで頭を冷やせ!」
「頭を冷やしたら、二度と村には近寄るな!」
 漁師たちはお坊さんをこらしめてから、お坊さんを助けて村から追い出すつもりだったのですが、酔っ払ったお坊さんはそのまま古池に沈んでしまい、漁師たちがあわてて引き上げた時にはすでにおぼれ死んでいたのです。

 それから何年かたった、ある年の正月の朝の事。
 漁師たちは、沖(おき)でしおを吹き上げるクジラを見つけました。
 クジラを捕まえれば、しばらくは働かなくても良いぐらいのお金が手に入ります。
 喜んだ漁師たちはすぐに舟を出して、沖へ向かいました。
 そして手分けをして逃げるクジラを取り囲んだ漁師たちは、モリでクジラを仕留めようとしましたが、反対に暴れたクジラに舟を壊されて、たくさんの漁師たちが死んでしまったのです。

 数日後、村では犠牲者(ぎせいしゃ)たちの霊(れい)をなぐさめようと、犠牲者たちの名前を刻んだ供養塔(くようとう)を建てました。
 その時、その犠牲者たちの名前を見た村人たちが、ある事に気づきました。
 何と犠牲者のほとんどが、宝蔵寺のお坊さんの事件にかかわった人たちだったのです。

 この事から村では、
「あの池に投げ込まれたお坊さんがクジラに生まれ変わって、仕返しをしたに違いない」
と、言い伝える様になったそうです。

おしまい

前のページへ戻る


     5月17日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
世界電気通信記念日
きょうの誕生花
紫蘭(しらん)
きょうの誕生日・出来事
1970年 坂井真紀 (女優)
恋の誕生日占い
夢に向かって努力をする頑張り屋
なぞなぞ小学校
良い時は縦に動き、悪い時は横に動く物は?
あこがれの職業紹介
雑貨店経営者
恋の魔法とおまじない 138
天気が晴れるおまじない
  5月17日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
月から降った餅
きょうの世界昔話
シカになった猟師
きょうの日本民話
ハマグリの食べ方
きょうのイソップ童話
ロバとカエル
きょうの江戸小話
おなら
きょうの百物語
宝蔵寺のお坊さん

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ