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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 4月の江戸小話 > 紛失の師匠
4月11日の小話
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紛失の師匠
お店のこぞうさんが、主人に用事をたのまれました。
「この手紙をな、牛込(うしごめ→東京の新宿)の、後藤平太兵衛(ごとうへいたべえ)さまのところへ、持っていっておくれ。この人は、剣術(けんじゅつ)の師匠(ししょう→先生のこと)だから、そういえばすぐわかるよ」
「はい」
こぞうさんは、さっそく出かけましたが、ゆくさきの家がよくわかりません。
牛込のあたりへつくと、
「このあたりに、強盗へえったべえさまというおかたはございませんか?」
と、きいて歩きました。
きかれた人は、首をかしげ、
「はて、それはおかしな名だな。場所はどこときいてきたのかな」
「はい、おしこみとききました」
「それは、なにをしている人じゃな」
「はい、たしか、紛失の師匠といったとおもいます」
おしまい
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