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2月10日の日本の昔話
盗っ人小僧
做賊仔个細沙彌
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福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,有一個人安到彥一,非常伶俐个細人仔。
ある日の事、彦一は殿さまのお使いで、船に乗って遠くの島に行く事になりました。
有一日,彦一做國主个小使仔,坐船仔去當遠个小島。
そしてその夜は、船で寝る事になりました。
該暗晡在船頂睡目過夜,
(さて、そろそろ寝るとするか)
と、思ったその時、
と、言う叫び声がしました。
堵堵想(慢慢會睡忒﹖)个時節,有人喊:
「海賊だー!」
「海賊...!」
海を見てみると、手に手に武器を持った海賊が乗る海賊船が、もう間近まで迫っています。
巡看海面看个時節,儕儕手拿武器个海賊坐等船仔,既經接近來了。
「大変だー! 奴らに身ぐるみはがされるぞ!」
「壞蹄了!𠊎俚隨身个東西會分佢兜搶走哦!」
「大切な物を早く隠すんだ!」
「重要个東西煞煞拿去囥忒佢!」
お客たちは持っている金や大切な物を、どこに隠そうかと大騒ぎです。
人客為著佢兜个錢摎貴重東西愛囥在那位好,吵到鬧熱煎煎。
でもどこに隠そうと、海賊は隠した物を見つけてしまうでしょう。
無論囥在那位,海賊乜尋得著!
そこで彦一は台の上に乗って、大きな声で言いました。
彥一企在台頂大聲講:
「みんな、落ちついて!海賊はどこに隠しても見つけてしまいます。ですから、お金は少しだけ自分のふところに入れて、あとは全部わたしに預けて下さい。わたしが必ず、海賊からお金を守りますから」
「大家心肝較定板兜!無論囥在那位海賊乜尋得著,所以,錢自家留一息袋等,伸个放在𠊎這,𠊎會掌好,絕對毋會分海賊拿走。」
彦一が自信たっぷりに言うので、お客たちはワラにもすがる思いで彦一にお金を預けました。
彥一講到自信滿滿,人客全部想,分水浸死以前抓到一支禾稈乜好,錢就交分彥一。
「わかった。お前に任そう」
「知了,拜托你哦!」
すると彦一はお金を少しずつ袋(ふくろ)に分け、見ただけでは分からない様に着物のあちこちに隠しました。
過後,彥一摎錢分做一細袋一細袋,分人看毋出个程度囥在衫褲肚。
そしてお客に頼んで、柱に体をグルグル巻きにしばりつけてもらいます。
續等就拜托人客,摎佢用索仔纏等綯在楯仔頂。
それからしばらくして船に乗り込んで来た海賊の親分(おやぶん)は、お客から財布(さいふ)を取り上げにかかりました。
過無幾久,坐等船過來个海賊頭仔,搶走人客人錢包。
「よしよし、素直に従えば、乱暴はしないからな」
「噯,噯,乘乘聽話,毋會作亂。」
そして柱にしばられた彦一に気づいて、親分は声をかけました。
過後,發現綯在楯仔个彥一,海賊頭問:
「小僧!そのざまはどうした?」
「細沙彌!該個人做麼个?」
すると彦一はうそ泣きをして、目に涙を浮かべます。
彥一就詐意在該噭,流目汁。
「おら、みなし子で、腹が減ってたまらねえから、船に忍び込んで客の財布を盗もうとしただ。
「𠊎,係無爺無哀个孤兒,肚屎枵到當毋著,偷偷上船頂想看有錢包好拈麽?
だども見つかって、一文も取らねえうちに捕まってしもうただ」
吂知分人發現,一角銀又無拿到就分人捉著。」
それを聞いた親分は、ニヤリと笑うと、
海賊頭聽到笑咪咪講:
「小僧のくせに盗みに入るとは、大した奴だな。だが、この船の客はみんな貧乏人ばかりで、大した稼ぎにはならねえ。お互い、今度はもっと金持ちを狙うとしよう」
「細沙彌你敢上來偷東西,實在了不起哪!毋過這船頂个旅客全部係窮苦人,搶毋著錢,換條船尋看有較發个人麽!」
親分はそう言いながら、子分とともに自分の船に戻っていきました。
海賊頭講後,該兜脚仔就倒轉自家人船頂去。
その後、お金も少し取られただけで済んだお客たちは、かしこい彦一にとても感謝したという事です。
後來該兜人客分海賊拿走一息仔錢定定,非常感謝聰明个彥一。
おしまい
煞了
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