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5月9日の日本の昔話
惚れ薬
迷魂藥
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある村に、田吾作(たごさく)という男がいました。
頭擺頭擺,在某隻村莊,有一個安到田吾作个細倈人。
田吾作は働くのが大嫌いで、いつもいつも、
田吾作當無想愛做事,長透乜恁樣。
(ああっ、遊んでいても、米に囲まれるような暮らしがしたいなあ)
と、思っていました。
(啊,想愛過無論仰般搞尞,乜有當多米包圍樣个生活。)
ある日の事、田吾作が川のほとりを歩いていると、一匹のイモリが飛び出して来ました。
有一日,田吾作在河壩脣散步時節,一隻狗嫲蛇走出來。
(イモリか。・・・しめた。こいつで人が好きになる薬を作ってやろう)
(這係狗嫲蛇無?...恁堵好。用這來做一種人愛用个藥仔。)
田吾作はイモリを捕まえて家に持って帰ると、さっそく黒焼きにして粉薬にしました。
田吾作捉起來帶轉屋下後,黏時熇燥來,研粉。
むかしから、イモリの黒焼きを人にふりかけると、ふりかけられた相手はふりかけた人を好きになると言われています。
自古以來,聽講若係你拿狗嫲蛇粉去掞人,分你掞著个人會中意掞佢个你。
(さて、誰にふりかけてやるかな)
(嗯,去掞麼人好哪?)
田吾作は粉薬を紙に包んでふところに入れると、にこにこしながら出かけて行きました。
田吾作摎狗嫲蛇粉用紙包起來,放在袋肚,然後笑咪咪行出去。
(どうせなら、金持ちの娘さんだな。金持ちの娘さんがおらの嫁さんになれば、毎日遊んでいても飯が腹一杯食えるに違いない。うっししししし)
(無論仰般,愛尋一個有錢細妹仔。若係討著有錢細妹仔做餔娘,準講𠊎逐日搞,𠊎也做得食到飽𩜰𩜰。hi hi hi hi)
田吾作がそう考えながら大きなお米屋さんの前まできた時、中から美しい娘さんが出て来ました。
田吾作恁樣緊想,來到大坎米店面前時節,一個當靚个細妹仔行出來。
(あれは、この家の娘だな。よしよし、この米屋の娘と一緒になってやろう。そうすれば、一生米には困らないぞ)
(該係這坎米店个妹仔。好,好,摎這間米店个妹仔結婚,這恁樣一生人都毋使愁無米好食。)
田吾作はふところから粉薬を取り出すと、おもてに積んである米だわらの後ろに隠れました。
田吾作拿出狗嫲蛇粉後,囥在店仔頭前堆等个米袋後背。
そんな事とは知らない米屋の娘さんが、田吾作の前にやって来ました。
毋知這件事个米店頭家个妹仔,行過來田吾作面前。
「それ、今だ!」
「就係這下!」
田吾作は、粉薬を娘さんにふりかけようとしましたが、
田吾作想愛摎狗嫲蛇粉掞店頭家个妹仔。
「きゃあー!」と、娘さんがびっくりして後ろへ飛び退いたため、粉薬は娘さんにかからないで米だわらにかかってしまったのです。
(しまった!)
「gia24!」,店頭家个妹仔嚇著煞煞倒卵退,所以狗嫲蛇粉無掞著店頭家个妹仔,嗄掞著米袋仔。
(無結煞!)
そのとたん、米だわらの一つがごろんと転がり、田吾作の方に近づきました。
該下,一隻米袋仔輪過來,輪向田吾作。
するとほかの米だわらもごろんごろんと転がり、田吾作を追いかけます。
過後,其他个米袋仔乜輪過來,追田吾作。
重たい米だわらにくっつかれたら、田吾作は押しつぶされてしまいます。
田吾作若係分恁重个米袋仔矺著,斯會分佢矺綿忒。
「た、助けてくれえー!米だわらに惚れられたー!」
「救,救命哦!𠊎分米袋仔迷著咧!」
田吾作が走って逃げますが、米だわらも負けじと転がって追いかけます。
田吾作瀉等走,但係米袋仔也跈等去。
それを見ていた人たちは、大笑いです。
看著這情形个人笑到會死。
「見てみろ、あのなまけ者が米だわらに追っかけられているぞ」
「看,該個懶ㄕ牯當當分米袋仔追。」
「米だわらに追いかけられるとは、幸せ者だな」
「分米袋仔追係幸福个人哪。」
そしてやっと自分の家に飛び込み、おもての戸を閉めました。
包尾,走落自家屋下,大門關起來。
田吾作は走って走って、走り続けました。
田吾作走了又走,繼續走。
そのとたん、
該下,
ドッシーン!
doshing!
と、おもての戸をつきやぶって、米だわらが家に飛び込んできたのです。
撞壞大門,米袋仔跌落屋肚。
(ああ、もうだめだ)
(啊,壞蹄咧。)
田吾作は米だわらに押しつぶされて、そのまま動かなくなってしまいました。
田吾作嗄分米袋仔矺棉忒,毋會停動。
おしまい
煞咧
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