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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >六月
6月22日の日本の昔話
こんにゃくえんま
魔芋王爷
翻訳者 広東省恵州学院 陳素玲
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、ある村に、えんま大王をまつったお堂がありました。
在很久很久以前的一个村子里,有一个供奉阎王爷的寺庙。
えんま大王は死んだ人間の罪をさばく、地獄(じごく)の恐ろしい王さまです。
阎王爷是地狱里审判死人罪行的可怕魔王。
このお堂のえんま大王も、金色の目をむいて、大きな口をクワーッと開けて、すごい顔でにらんでいます。
这个寺庙里的阎王爷有一副金色的眼睛,张着血盆大口,面露凶光,怒目而视。
見ただけでも恐ろしいものだから、あまりお参りの人も来ませんでした。
光是看到他就心生胆怯,因此没什么人来拜祭他。
ところがこのえんま堂に、雨が降っても風が吹いても、一日もかかさずお参りに来るおばあさんがいました。
然而,有一个老婆婆,无论刮风下雨,每天都来拜祭他。
このおばあさんは両方とも目が見えないので、孫の小さな女の子に手を引かせて来るのでした。
因为老婆婆双目失明,所以她的小孙女牵着她进来。
お彼岸(ひがん→春分・秋分の日を中日として、その前後7日間)のある日。
祭拜日的某一天,
お参りに来たおばあさんは、いつもの様にえんまさまの前に座ります。
老婆婆像往常一样跪在阎王爷面前。
孫の女の子はえんまさまが怖いので、おばあさんの後ろに隠れていました。
孙女惧怕阎王爷,所以躲在老婆婆身后。
「なんまいだー。なんまいだー。おじひ深いえんまさま。どうぞあなたさまのお力で、このババの目を治してくだされ」
“南无阿弥陀佛,南无阿弥陀佛,老爷您大发慈悲,请用您的魔力,让我重见光明吧。”
おばあさんは繰り返し繰り返し、えんまさまの前でおじぎをしました。
老婆婆一边鞠躬一边重复这句话。
えんま大王も、こうして毎日毎日おがまれると、声をかけずにいられません。
阎王爷日复一日地被恳求,不得不开口了。
「これ、ババよ。お前の願いを聞いてとらす。信心(しんじん→神仏をしんこうすること)してくれたお礼に、わしの片目をしんぜよう」
“婆婆,我听到你的愿望了。作为你信仰我的回礼,我赐你我的一只眼睛。”
えんまさまが口を聞いたので、おばあさんはビックリして上を向きました。
すると、
听到阎王爷开口说话,老婆婆大吃一惊,不自觉抬头看着他。
「ありゃ! 見える、
“啊!看见了,
見える。あたりがよう見える!」
看见了,我看见你了。”
おばあさんの右の目が、パッと開いたのです。
老婆婆的右眼“啪”一下睁开了。
おばあさんが大喜びしていると、女の子が叫びました。
老婆婆非常高兴,此时,孙女尖叫道:
「あっ、えんまさまの目が一つない」
“啊!阎王爷没了一只眼睛!”
おばあさんが見てみると、確かにえんまさまの目が一つ潰れています。
老婆婆朝阎王爷看了一眼,他确实少了一只眼睛。
おばあさんは、ポロポロと涙を流して言いました。
老婆婆不禁流下了眼泪,说道:
「ああ、申し訳ない。えんまさまをかたわ(→不完全なこと)にして、わしが見えるようになるとは。ああ、もったいない、もったいない」
“我真该死!让阎王爷以失去一只眼睛的代价换得我重见光明,不应该!不应该!”
すると、片目のえんまさまが言いました。
这时,阎王爷开口了:
「まあ、そう心配せんでもいい。
“你操心了。
わしはお前たちとちごうて、別に働かなくてはならんということもない。
我和你们不同。我不需要劳作。
ただここにこうしておるぶんには、片目でもじゅうぶんじゃ」
只要待在这里,一只眼睛足够了。”
「へえ、もったいない。ところで何か、お礼をさせていただきとうございますが」
“不应该不应该!这让我如何报答是好。”
「お礼か。・・・いや、そんなものはいらぬ」
“报答。不需要什么报答。”
「いいえ、そうおっしゃらずにどうぞ。わたしに出来ます事を、させてくださいまし」
“不不不!您随意说。我一定尽我所能做到!”
「・・・さようか。それでは、こんにゃくを供えてくれ。わしは、こんにゃくが大好きでな」
“啊,这样…那么,请带魔芋来供奉我,我喜欢吃魔芋。”
それからおばあさんは、毎日毎日、えんまさまにこんにゃくをお供えしました。
从此,老婆婆每天都带着魔芋来供奉阎王爷。
その事が村で評判になって、えんまさまは『こんにゃくえんま』と呼ばれるようになりました。
这件事在村里传开了,人们把阎王爷称为魔芋王爷。
それからはお参りの人も増えて、毎月の縁日(えんにち)には境内(けいだい→社寺のしきち)に、こんにゃくおでんの店がズラリと並ぶようになったのです。
从那以后,来祭拜的人越来越多,每月的庙会日,庙里卖魔芋关东煮的店铺都挤满了人。
おしまい
結束
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