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11月21日の世界の昔話
ほらふき男爵 クマと火うち石
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わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
この前は、鉄砲を使わずにカモを百羽捕まえた話しをしたが、今日は鉄砲を使わずに大グマをしとめた話じゃ。
わがはいがポーランドの森へ狩りに行った帰り道、鉄砲の玉が一発も残っていないというのに、突然現れた大グマが大口を開けて飛びかかってきたのじゃ。
(せめて、一発だけでも残っていれば)
念のためにポケットに入れた鉄砲の玉を探したが、やはり一発も残ってはいなかった。
だが、手にさわった物がある。
取り出してみると、それは二つの火うち石。
「ええい、これでもくらえ!」
わがはいはむちゅうでその火うち石の一つを、大きく開けたクマの口に投げ込んだのじゃ。
すると火打ち石を口に放り込まれて気持ちが悪くなったのか、クマは回れ右をして逃げ出していきおった。
さて、普通の人間なら『こうしてクマを、見事に追い払った』と言って、話しは終わりだが、わがはいは違う。
わがはいは残った火うち石を、逃げていくクマのお尻の穴にめがけて投げ込んだのだ。
これが、実にうまくいった。
クマのお尻から入った火うち石が、さっき口から入った火うち石とぶつかってな。
カチン!
と、いう音がクマのお腹の中から聞こえたかと思うと、クマは黒こげになってばたりと倒れた。
その日の夕食は、クマの丸焼きというわけじゃ。
この前と同じだが、『頭を使えば、鉄砲の玉がなくても狩りは出来る』
これが、今日の教訓だ。
もっとも、鉄砲の玉を多く持って行く方が簡単だが。
あっ、これもこの前と同じか。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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