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ひつじのお話し 第 8 話
羊不爛山(ようふらんざん)
中国の昔話 → 中国の情報
むかしむかし、ある高い山に広成子という名前の仙人が住んでいて、遠くから訪ねて来る仲間のためにヒツジの肉の煮物を作って待っているという伝説がありました。
ある日の事、都から偉い役人がやって来て、この伝説を耳にすると自分も山でヒツジの肉の煮物を作ってみたくなりました。
そこで麓の村でヒツジの肉と薪(まき)を用意して、召使いと一緒に山へ登って行きました。
そして料理の準備に持ってきた薪に火をつけましたが、薪はくすぶるだけで火はなかなかつきません。
「おかしいな。薪が湿っているのかな?」
それでも頑張って火をつけると、鍋に入れたヒツジの肉をぐつぐつとゆで始めました。
それから数時間後、煮込んだヒツジの肉を食べようと役人が鍋のふたを取ってみると、不思議な事にヒツジの肉は生のままでした。
「おかしいな。高い山の上だから、煮込むのに時間がかかるのかな?」
そこで役人はさらに数時間煮込んでみましたが、鍋のふたを取ってみると、やっぱりヒツジの肉は生のままです。
「仕方ない。今日はあきらめよう」
役人は近くのお寺に行くと、一晩泊めてもらうことにしました。
そして役人がお坊さんに今日の事を話してみると、お坊さんはこう教えてくれたのです。
「この山でヒツジを煮るには、仙人が使う仙火と言う物が必要だそうです。
しかし、仙火を使わずに運良く三日以内にヒツジが煮えて食べる事が出来たなら、その者は仙人と同じ不老の体になれると言われています」
「おおっ、不老の体に!」
それを聞いた役人は召使いと頑張って、ヒツジの肉を三日の間、煮続けました。
けれど三日後、役人が鍋のふたを取ってみると、やっぱりヒツジの肉は生のままだったのです。
「そう簡単には、不老の体にはなれぬか」
役人はあきらめると、山を下りて都に帰って行きました。
やがてこの話が広まり、人々はその山の事を『羊不爛山(ようふらんざん)』と呼ぶようになりました。
羊不爛山とは、ヒツジが煮えない山という意味だそうです。
おしまい
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