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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >八月
8月3日の日本の昔話
動くかかし
会动的稻草人
翻訳者 廣東省恵州学院 毕嘉欣
にほんご(日语) ・にほんご(日语)&ちゅうごくご(中文)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
很久很久以前,有一个叫吉四六的很快乐的人。
むかしから、夏の食べ物と言えばスイカで、吉四六さんの村でもスイカを作っていました。
从很久以前开始,说起夏天的食物,就会想到西瓜,吉四六的村里也种着西瓜。
しかし最近は夜になるとスイカ畑に忍び入り、よく出来た甘くておいしそうなスイカを片っ端から盗んで行く、スイカ泥棒が現れたのです。
但是最近到了夜晚,出现了偷西瓜的贼,他们偷偷潜入西瓜田里,把种好的看起来又甜又好吃的西瓜一个一个地偷走了。
「せっかくのスイカを、何て腹の立つ奴だ! 今夜こそ、ひっとらえてやるぞ!」
“居然偷走我们好不容易才种出来的西瓜,真是让人生气的家伙!今晚肯定要逮住他们。”
村人たちは見張り小屋を建てて、一晩中スイカ畑を見張っていますが、スイカ泥棒を捕まえるどころか、ちょっと油断したすきにまた新しいスイカを盗まれてしまうのです。
于是,村民们建了夜晚用来看守田地的小茅屋,虽然他们整晚都在看守着田地,但是非但没有捉到西瓜贼,一不小心新的西瓜又被偷了。
吉四六さんの畑もやられてしまったので、いまいましくてたまりません。
吉四六的西瓜田也被偷了西瓜,因此他非常生气。
「うーむ。何か良い工夫はないものだろうか?」
“嗯——。有什么好办法呢?”
昼間の畑仕事をしながら、吉四六さんは考えていましたが、
吉四六白天一边干农活一边想着。
「・・・そうだ、これでいこう!」
“...对了,就这么办吧!”
と、何か名案を思いついて、急いで家に戻って来ました。
吉四六似乎想到了什么好主意,急急忙忙地回了家。
そして大きなわら人形を作ると、それに自分の着物を着せて、手ぬぐいでほおかむりをしました。
然后,他做了一个稻草人出来,并让它穿上了自己的衣服,还用手巾包住了它的脸。
かかしの出来上がりです。
稻草人做好了。
「我ながら、なかなかの出来だ」
吉四六满意自言自语道:“我做的还不错”
さっそく吉四六さんは、そのかかしをかついで自分のスイカ畑へ行きました。
接着,吉四六赶紧地把那个稻草人扛到自己的西瓜田里。
それを見た村人たちは、吉四六さんに声をかけました。
看到这样的场景的村民们问吉四六:
「おいおい、吉四六さんよ。そんなかかしを持って、どうするつもりだ?」
“喂喂,吉四六,你拿着那个稻草人要干嘛啊?”
吉四六さんはスイカ畑のまん中にかかしを立てると、まじめな顔で答えました。
吉四六把稻草人放到西瓜田的中央立起来,认真地回答道:
「何って、見ればわかるだろう。これは泥棒よけだ。毎晩毎晩、番小屋で夜明かしするのは、大変だからなあ」
“要干嘛?一看就知道了吧,这是用来吓小偷的。每晚都在值班小房子里看守到天亮,很辛苦啊。”
「泥棒よけだって?」
“用来吓小偷?”
それを聞いて、みんなは大笑いです。
听到吉四六的回答,大伙都笑了。
「あははははは、こいつはいい!」
“哈哈哈哈,你可真‘厉害’”
「吉四六さん、お前、どうかしてるんじゃないのか? スイカ泥棒はカラスじゃなくて、人間だよ」
“吉四六,你脑子是不是出啥问题了?西瓜贼又不是乌鸦,是人来的哟。”
しかし吉四六さんは、ニッコリ笑うと、
可是吉四六笑了笑说:
「なあに、世の中には、カラスよりも馬鹿な人間もいるんだよ」
“哈~世界上有比乌鸦还蠢的人哟。”
と、さっさと帰ってしまいました。
说完,吉四六就赶紧回家了。
「はん。何を言ってやがる。人間がかかしを怖がるはずないだろうに」
“哈,他在说啥啊,人怎么会怕稻草人呢。”
「吉四六さん、むかしから頭が良いのか悪いのか、よくわからねえ人だったが、やっぱり馬鹿だ」
“吉四六这个人啊,从前就不知道他脑子是好使还是不好使,看来是个傻瓜。”
「そうに違いない。あははははは」
“肯定是这样。哈哈哈”
村人は、腹をかかえて笑いました。
村民都捧腹大笑。
そして道を通る人たちも、
还有经过这条路的人也说:
「おやおや、あのスイカ畑には、かかしが立っているぞ。泥棒よけだそうだが、何とも変わった百姓がいたもんだ」
“快看快看,那个西瓜田里竖着个稻草人,听说是用来吓小偷的,多么奇怪的农民啊。”
と、笑いながら過ぎて行きました。
说完,一边笑一边走了。
さて、夜になりました。
到了夜晚。
村人たちは今夜も夜明かしで見張りをするつもりで、それぞれ自分たちの見張り小屋に泊まり込みました。
村民们各自回到自己的值班小屋,他们这晚也准备在小房子里过夜,看守到天亮。
ですが、吉四六さんの小屋には、誰一人姿を見せません。
但是,吉四六的小房子里一个人也没有。
「おや? 吉四六さんめ、本当にかかしが泥棒よけになると思っていやがる。知らねえぞ、明日になって、スイカが一つ残らず盗まれても」
“诶?吉四六真的以为稻草人能吓跑小偷啊,到了明天西瓜被偷得一个不剩我可不管。”
今夜は雲が多く月も星もない真っ暗闇で、泥棒にはもってこいです。
这天夜晚,云很多,没有星星和月亮,四周黑乎乎一片,对小偷来说再好不过了。
するとやはり、どこからともなく現れた二つの黒い影が、そろりそろりとあぜ道に入って来ました。
果然,不知从哪出现了两个黑影,悄悄地从田埂那溜了进来。
そして、
然后
「おいおい、馬鹿な奴もいるものじゃ。畑にかかしなんか立てて、番小屋はお留守だぜ」
“喂喂,有一个傻瓜,在田里竖了个稻草人,值班小房子没有人。”
「こりゃ、ありがたい。カラスと人間を間違えるとは」
“这可真难得啊,居然把乌鸦和人弄错了。”
「全くだ。おかげで今夜は、うんと稼げるというものだ」
“还真是,托这个傻瓜的福,今晚我们可以偷个够了。”
二人の泥棒は、吉四六さんの畑に入り込みました。
两个小偷潜入吉四六的田里。
そして出来るだけ大きなスイカを取ろうと、手探りで畑の中を探し回っていると、かかしのそばまでやってきました。
然后伸手在田里找,想要尽量偷大的西瓜,等他们来到稻草人旁边时
すると突然、
突然间
♪ポカッ
“砰”
と、いう音がして、泥棒の一人が悲鳴をあげました。
的一声,小偷中的其中一个人惨叫道:
「あいた! おい、なんだって、おれの頭を殴るんだ?」
“啊,好痛!喂,你干嘛打我的头?”
「はあ? おれは殴らないぞ。あいた! お前こそ、おれを殴ったじゃないか!」
“哈?我没打你啊。啊好痛!你才是呢,你打我干嘛!”
「馬鹿いうな。なんでおれが殴るものか。お前こそ、あいた! こら、また殴ったな!」
“胡说什么,我为什么要打你。你才是。啊好痛!喂,别再打了!”
二人は思わず後ろを振り返り、そしてびっくりしました。
两人不由地回头,一看,吓了一跳
なんと後ろに立っていた大きなかかしが、大きな声で、
后面竖着的大型稻草人大声地
♪ケッケケケケー
嘿嘿嘿嘿
と、笑い出したのです。
地笑着
「お、お、お化けだー!」
“妖..妖..妖怪啊!”
「た、た、助けてくれー!」
“救..救..救命啊!”
二人はあわてて逃げ出そうとしましたが、スイカのつるに足をとられて、その場に倒れてしまいました。
两人慌慌张张的想要逃走,但被西瓜藤缠住了脚,当场就绊倒在地上了。
するとかかしが、倒れた泥棒の上にのしかかると、
接着,稻草人压在摔倒了的小偷身上,
「おーい、村の衆! 泥棒を捕まえたぞ! 早く早く!」
と、大声で叫びました。
大声叫道:“喂,村民们,我捉到小偷了,快来快来!”
なんとその声は、吉四六さんの声でした。
谁知,那声音是吉四六的声音。
そして騒ぎを聞きつけた村人たちが、あわてふためく泥棒を捕まえたのです。
然后,听到骚乱的村民就捉住了惊慌失措的小偷了。
実は吉四六さん、わらで作った服を着て、こっそりかかしと入れ替わっていたのです。
原来,吉四六穿上用稻草做的衣服,偷偷地和稻草人调换了。
「どうだい。かかしに捕まる、カラスよりも馬鹿な人間がいただろう」
吉四六さんは、ゆかいそうに笑いました。
“怎么样,被稻草人捉住,有比乌鸦还蠢的人吧”
吉四六开心地笑了。
おしまい
完
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