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7月3日の百物語
(7月3日的日本鬼故事)
しっぺ太郎

しっぺ太郎
病太郎

日本語 ・日本語&中国語

♪音声配信(html5)
朗読 : 佐々木久美子

むかしむかし、一人の旅のお坊さんが、ある村を通りかかると、田植え時だというのに、田で働いている者が一人もいないのです。
到好久以前、一個雲遊和尚、過路一條村、就看到明明是种莊稼的季節、但是一個種田的人都覓(沒)得

不思議に思っていると、その村の庄屋(しょうや)さんの家の前に大勢の村人たちが集まって、心配そうに何やらひそひそと話し合っていました。
和尚就覺得這事怪啊、這就又看到地主屋裡前面聚了有好多人、都不怎麼安穩的樣子到港些甚麼。

「はて、なんじゃろ?」
也是港去探個口風。

お坊さんが庄屋さんの家に近づいてみると、家の中から若い娘の泣き声が聞こえてきます。
和尚走近一看、就聽到屋裡面有個年輕女的到哭。

お坊さんは、近くにいた年寄りにたずねてみました。
和尚就問哈附近個歲數大的人看是甚麼情況。

「何やら大変な事になっておるようじゃが、何事かな?」
這是個甚麼案子哦?

「これはこれは、旅の坊さま。
実は庄屋さまの家に、白羽(しらは)の矢が立ったのです」
和尚啊
其實是這屋人
箭射到他屋啦。


「矢が?」
箭?

よく話を聞いてみると、この村では毎年田植え時になると、十五才になる娘がいる家へ白羽の矢が立つそうです。
幫全部聽完、和尚就曉得其中脈絡了、原來是每年這個時候、要種田的季節、那個屋裡要是有了個滿十五歲的女、這箭也就跟到過來了。

そして白羽の矢が立った家の娘は秋祭りの晩に氏神(うじがみ→土地に住む神さま)さまへ人身ごくう(ひとみごくう→人間をいけにえにすること)として差し出す事になっているのです。
要是中了這箭、秋天節慶的晚上、就要幫這屋女跟神獻了、就是當活祭品。

なぜなら、差し出さないと次の年は大風が吹いて、村中の作物がみんな吹き飛ばされてしまうからです。
要是不這麼做、這田就不要收了、全著風卷走完。

それを聞いたお坊さんは、顔を真っ赤にして怒りました。
和尚聽了就好憤怒。

「そんな馬鹿な話があるか!
怎麼可能有這種事。

氏神さまと言えば、村の難儀をすくうものと決まっておる。
土地神按港是施與的一方。

これは氏神さまの名をかたる、悪い化け物の仕業に違いない」
這肯定是條頂到神的名頭、到後面搞鬼事的妖。

そしてお坊さんは氏神さまをまつってある山へ一人で登って行くと、鳥居のかげにそっと身を隠して夜のふけるのを待ちました。
和尚一個人幫宮廟進了、躲到紅門柱子後面、一直等到天黑

やがて真夜中になると、どこからか生臭い風が吹いてきて、黒い物がお堂の前に浮かび上がりました。
晚上開始靜了、這就一陣腥風、一條甚麼黑色的東西就到廟口浮現了。

「あれは、一体?」
甚麼鬼?

お坊さんが目をこらしながら見ていると、その黒い物は薄気味悪い声で歌いながら踊りだしました。
和尚就盯到看、那條黑色的陰森東西就開始跳舞唱歌。

♪でんずくばんずく、すってんてん。
♪この事ばかりは、知らせんな。
♪丹波の国へ、知らせんな。
♪しっぺえ太郎さ、知らせんな。
唯獨這事要保密
咿呀咿呀喲
不能傳播到丹波去
咿呀咿呀喲
病太郎啊病太郎
莫讓他曉得


やがて夜が明けると、黒い物はどこかへ消えてしまいました。
這天一亮、黑色的妖物也消失不見了

「消えたか。
走了啊

あの化け物は、『しっぺえ太郎さ、知らせんな』と言っていたな。
那個妖怪港、不能讓病太郎曉得。

すると化け物の弱点は、『しっぺ太郎』か。
這就說明他怕病太郎

これは丹波(たんば→京都と兵庫のさかい)の国へ行って、しっぺえ太郎とやらを探さねば」
這就準備往丹波(現京都與兵庫的交界)去了、去邏這條喊病太郎的傢伙。

お坊さんは村へ戻ると、庄屋さんに言いました。
和尚一回村、先交待地主。

「氏神さまの名をかたる化け物の弱点は、丹波の国のしっぺ太郎であるらしい。
這個冒名頂替的地界神、好像怕的就是丹波國的病太郎。

わしが丹波の国へ行って、秋祭りまでにはしっぺえ太郎とやらを連れて来るから、どうか気を落とさずに待っていなさい」
我幫丹波去了、到秋收節慶之前幫太郎邏回來、你們就等我回來。

お坊さんは丹波の国へ行くと、出会う人、出会う人に、しっぺ太郎の事をたずねました。
和尚去往丹波、碰一個問一個、打聽關於病太郎的事。

「すまんが、しっぺえ太郎というお人を知らんかな?」
病太郎?不曉得這條人。

しかし何百人、何千人に聞いても、しっぺ太郎を知っている人はいませんでした。
這就問了一百一千條人、都不曉得病太郎到底是那個。

そうこうしているうちに、とうとう秋祭りの前日になりました。
時日蹉磨、這麼多天過去、裡節慶就最後一天了。

「これだけ探しても、見つからんとは。それにもし見つかっても、今から間に合うかどうか」
這麼久過去都是徒然無功、已經這個時間、現在就算馬上能邏到、都不曉得頂不頂用。

お坊さんが肩をがっくり落としながら道ばたに座り込んでいると、向こうから牛の様に大きな黒犬が、のっそりのっそりとやって来ました。
和尚感覺不行了、就癱坐到路邊、這就突然走過來條牛那麼大的黑狗、步伐是相對的穩重。

そしてそのすぐ後から、お寺の小坊主がやって来て言いました。
狗屁股後面就跟到小和尚。

「しっぺえ太郎。しっぺえ太郎。早く戻って来い!」
病太郎、快點回來、病太郎

それを聞いたお坊さんは、飛び上がって喜びました。
和尚聽到病太郎這三個字、一哈激動到飛起來。

「そうか。しっぺえ太郎とは、この黒犬だったのか」
病太郎原來是條黑狗啊。

小坊主に黒犬の事を聞くと、お寺で飼っている犬だと言います。
問了哈小和尚情況、這條狗就是廟裡面養的。

お坊さんは、さっそくお寺に駆け込んで、和尚(おしょう)さんに頼み込みました。
和尚馬上跑到廟裡面、拜託方丈。

「これこれこういうわけだから、どうかしっぺえ太郎を貸してくだされ」
也是幫來龍去脈都港了、要廟裡借狗。

「ええとも、ええとも。確かにしっぺえ太郎なら、化け物の一匹や二匹退治してくれるだろう。さあ、時間がないのなら、しっぺえ太郎に乗って行きなされ」
那事不宜遲、你快點騎到太郎趕過去、確實、解決一條兩條妖怪、太郎還是有這個本事的。

お坊さんがしっぺえ太郎に乗ると、しっぺえ太郎は風の様に走り出しました。
和尚就騎到太郎、是快如風。

一方、庄屋さんの家では、何のたよりもないお坊さんの事はあきらめて、なくなく娘に白むくの着物を着せて、白おびに白たびをはかせ、家の前には白木(しらき)の長持(ながもち→衣服・調度などを入れて保管したり運搬したりする、長方形でふたのある大形の箱)を用意していました。
同時、村中地主這邊也是對和尚的約定死心、幫自己女套上白紗白帶白襪、又到門前準備好了一個白木箱子。

そこへお坊さんが、牛の様に大きな黒犬に乗って帰って来たのです。
同時、和尚也騎到牛狗衝這邊過來了。

「遅くなって、すまなかった。この黒犬が、丹波の国のしっぺえ太郎じゃ」
我來遲了、這就是丹波的病太郎。

お坊さんは娘が入る予定の長持の中へしっぺえ太郎を入れると、庄屋さんに言いました。
幫本來是要裝女的白箱子、這就裝太郎。

「さあ、化け物退治に出かけるぞ」
那這就準備開搞。

大勢の村人たちが、しっぺえ太郎の入った長持をかつぎあげて、鐘や太鼓を打ち鳴らしながら山の氏神さまへ登って行きました。
村民眾抬到太郎、又是敲邏打鼓、運向地界神的宮廟了。

そして氏神さまへ着くと、村人たちはお堂の前に長持を下ろして、我先にと逃げ帰りました。
人一到地方、幫箱子放到廟口、就都爭到跑了。

お坊さんは鳥居のかげに隠れて、化け物が現れるのを今か今かと待ちました。
和尚還是躲到紅門的柱子後、就等到妖物出現了。

しばらくして、生臭い風が吹いたと思うと、あの黒い化け物が現れました。
一哈、一陣腥風、妖怪來了。

♪でんずくばんずく、すってんてん。
♪この事ばかりは、知らせんな。
♪丹波の国へ、知らせんな。
♪しっぺえ太郎さ、知らせんな。
這又是唱到上次的現(重複)歌
咿呀咿呀喲
病太郎啊病太郎
莫讓他曉得。


化け物は飛び跳ねる様にして、長持の回りを踊ります。
妖怪就蹦蹦跳跳的到箱子旁邊轉圈圈。

そして踊り終わると、長持のふたへ手をかけました。
舞完、這就開箱子蓋。

「今だ、しっぺえ太郎!」
太郎!弄他!

お坊さんがそう言うと、長持のふたがバン!と、跳ね上がって、中からしっぺえ太郎が飛び出しました。
和尚一言、蓋子馬上彈起來了、病太郎就從裡面蹦出來了。

しっぺえ太郎と化け物は一つにからみ合って、転げ回りながらうなり声をあげて戦います。
二條這就攪到一起、烏哇哇哇的叫。

そのうなり声は一晩中続き、村まで聞こえてくるうなり声に村人たちは震え上がりました。
這就嚎了一晚上、狗聲妖聲震天、村子裡面都聽到了、幫全村人是骸了個卵卯翻天。

やがて東の空が明るくなってくると、あれだけの騒ぎがピタリとおさまりました。
天有點亮了、那聲音也是收了。

庄屋さんと村人たちが、恐る恐る山の氏神さまへ登って行きました。
地主帶全村人就上山看情況啦。

氏神さまの所へ来てみると、お堂の前に年老いた大ザルが、のどを噛み切られて死んでいました。
宮廟口口一到、廟堂前面就一條老猴子喉嚨著咬爛死到哪裡的。

そのそばに傷だらけのしっぺえ太郎が、息をあらげて横たわっています。
旁邊的太郎也不行了、呼吸好急促的趴到邊上的。

お坊さんも気が抜けた様に、鳥居のかげに座り込んでいました。
和尚看了一晚上的戲、也是緊張了一夜、失神垮坐到紅門邊上的。

「ああ、ありがてえ、ありがてえ」
好傢伙啊、好傢伙啊。

庄屋さんと村人たちは大喜びして、しっぺえ太郎とお坊さんを村へ連れて帰りました。
地主和全村人都好高興、幫和尚和太郎一起接回去了。

そして、しっぺえ太郎とお坊さんを手厚くもてなすと、頭を下げてお願いしました。
下村、備好宴席、感謝太郎跟和尚、在幫頭低落去有事相託

「お坊さまとしっぺえ太郎は、この村の恩人です。どうぞ、いつまでもこの村へ留まってくだされ」
畢竟這二條都是全村的救命恩人、就想讓他們一起一直留到這裡。

しかしお坊さんとしっぺえ太郎は元気を取り戻すと、丹波の国のお寺へと帰っていったそうです。
不過和尚等太郎一好、自己也緩過神、還是往丹波的廟裡面去了。

おしまい
结束

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