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1月2日の日本民話

天福地福

天福地福

翻訳者 廣東省恵州学院 陳怡彤

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

♪音声配信(html5)
朗読者 : スタヂオせんむ

 むかしむかし、あるところに、正直なおじいさんと欲張りなおじいさんとが隣同士で住んでいました。
 很久很久以前,有一个地方住着一位正直的老爷爷和一位贪心的老爷爷,他们是邻居。

 ある年の暮れの事、偶然に町で出会った二人は、
「正月の二日の夜は、お互いに良い夢を見たいものだな」
「うん、福を授かる良い夢をな」
と、話し合いました。
 一年年末的时候,偶然相遇的两人向对方说,
“正月二日的夜晚,希望我们都能做好梦啊”
“嗯,希望是被赐予福气的好梦啊”


 そしてお互いに見た夢がどんな夢だったかを、教え合う事にしたのです。
 之后,两人便决定向对方请教各自做的梦是怎样的梦。

 さて、正月三日の朝、二人は庭のかきねで顔を合わせました。
 转眼间,到了正月三日的早上,两人在庭院的栅栏处碰面了。

 正月の挨拶もそこそこに、欲張りなおじいさんが尋ねました。
 正月的寒暄过后,贪心的老爷爷就问道。

「どうだったね、良い夢を見たかね?」
“怎么样了,做了好梦了吗?”

「見た見た、おらの夢は、天から福を授かった夢じゃ」
“做了做了,我的梦是从天赐福的梦”

 正直なおじいさんが、そう答えると、
 正直的老爷爷如是回答道。

「そうか、おらの夢は、地から福を授かった夢じゃ」
“这样啊,我的梦是由地赐福的梦”


と、欲張りなおじいさんも教えました。
 贪心的老爷爷也说了(自己的梦)。

「天から福と、地から福か。どちらも良い夢だな」
“从天赐福和由地赐福。无论哪个都是好梦啊”

「そうだ、今年は楽しみだ」
“说的是啊,今年可真令人期待啊”

 そして正月が過ぎて、いく日かたったある日の事。
 然后正月过去了,又过了几天。

「今日はずいぶんと良い天気じゃ。豆でもまいてみようか」
“今天的天气可真好。要不种一些豆子吧”

 正直なおじいさんが裏の畑に出て耕していると、くわの先がガチンと何かがぶつかりました。
 当正直的老爷爷去到后面的田地耕种时,锄头的前端的部分好像“铿锵”一下砸到了什么东西。

「はて? こんな所に石などあるはずがないのだが」
“哎呀?这种地方明明不该有石头的呀。”

 そう思いながらもくわの先を掘ってみると、下には大きなかめが埋まっていました。
 一边这样想,一边用锄头挖挖看,发现下面埋着一个大罐子。

 正直なおじいさんがかめのふたを取って見ると、中には大判小判がぎっしり入っていて、眩しいくらいに光っています。
 正直的老爷爷揭开罐子的盖子一看,里面装满了大大小小的金币(日本古代的钱币),散发着耀眼的光芒。

「これはたまげた。この宝は、隣のじいさまが夢に見た地福に違いない。何といっても、地から授かった宝だからな。早く行って、知らせてやらにゃあ」
“这太令人吃惊了。这宝物一定是隔壁老头梦中所见的地福。不管怎么说,这都是从地里得到的宝物啊。我得快点去通知他才行”

 正直なおじいさんは、さっそく隣のおじいさんに知らせに行きました。
 正直的老爷爷,立刻就去通知隔壁的老爷爷了。

「ほれ、お前さんの夢に見た地福が、おらの畑から出たぞ。大判小判がたっぷり入ったかめじゃ。早く行って取ってくりゃいい」
“看吧,你梦见的地福,从我的田地里出来了哦。大大小小的金币可是装了满满一罐子,快点去拿好了。”

 正直なじいさまは、かめが出た場所を教えてやりました。
 正直的老爷爷告诉了他罐子出现的地方.

 そして家に帰ると、その事をおばあさんに話してやりました。
 然后回到家,就把那件事告诉了老奶奶。

「ばあさま、おらの畑から地福が出てな、隣のじいさまに知らせてやったら、えらく喜んでおったぞ。すぐに大判小判の入ったかめを、取って来るじゃろう」
“老婆子,从我的田里出现了地福哦,我告诉隔壁的老头之后,他非常高兴啊。马上要拿到装满了大大小小的金币的罐子了吧”

 すると、おばあさんは、
「それは、良い事をなさった」
と、欲のないおじいさんを褒めてあげました。
 于是,老奶奶夸奖了没有贪心的老爷爷,说道“那你做了件好事啊”。

 さて、隣の欲張りなおじいさんは、大急ぎでかめの出た畑へ飛んで行きました。
 就那样,隔壁贪心的老爷爷,急急忙忙地飞快跑到有罐子的田地去了。

 かめは教えられた所に、ちゃんとありました。
 这个罐子正是在正直的老爷爷所说的地方。

「今年は何て良い年なんじゃ! そうれ、♪大判小判が、♪ザックザク」
“今年是多么美好的一年啊!♪那些个、大金币,小金币,哗啦啦地响♪”

 欲張りなおじいさんは鼻歌を歌いながら、かめのふたを取ってみてビックリ。
 贪心的老爷爷哼着小曲儿,掀起罐子的盖子却大吃一惊。

 かめの中には大判小判どころか、気味の悪いヘビが何匹も入っていて、ニョロニョロとはい回っているではありませんか。
 罐子里别说大大小小的金币了,还有好几条可怕的蛇,在扭动着地爬来爬去呢。

「あの、くそったれじじいめが、よくもおらを騙しやがったな! 何が、大判小判たっぷりだ! くそっ!」
“那个臭老头可把我骗惨了!什么满是大大小小的金币!该死!”

 欲張りなおじいさんは、顔をまっ赤にして怒りました。
 贪心的老爷爷气得满脸通红。

 そして、
「今度はおらが、あのじじいめをおどかしてやらにゃあ」
と、言って、ふたをしっかりすると、かめを背負って帰りました。
 然后说道,“这次我可要好好吓唬那臭老头”,把盖子牢牢地盖住后,背着罐子回去了。

 家に着くと欲張りなおじいさんは長いはしごを持ち出して、隣の家の屋根に登りました。
 一回到家,贪心的老爷爷就拿着长梯,爬上隔壁家的房顶。

 そして屋根の上に突き出ている、けむ出しの窓から中をのぞいてみると、おじいさんとおばあさんはいろりに火を赤々と燃やして、何やら楽しそうに話し合っていました。
 然后,从在房顶上突出的冒烟的口往里看,发现老爷爷和老奶奶把炉子里的火烧得通红,好像在聊着什么高兴的事情。

「人を騙しておいて、いい気なもんだ」
“骗了人,还敢在那里洋洋得意,逍遥自在”

 欲張りなおじいさんは、ますます腹を立てました。
 贪心的老爷爷越来越生气了。

「さあ、これでもくらえ!」
“那么,(你们)也吃我这一招吧!”

 欲張りなおじいさんは持って来たかめのふたを取ると、ガバッと中の物をおじいさんたちの頭めがけて落としました。
 贪心的老爷爷一打开带过来的罐子的盖子,就“啪啦啦”地把里面的东西往老爷爷他们的头顶处倒下去了。

 ところが不思議な事に、かめの中から出た物はヘビなんかではなく、本当の大判小判だったのです。
 但是不可思议的事情发生了,从罐子里掉出来的东西不是蛇,而是真正的大大小小的金币。

「ありゃあ、大判小判が天井から降って来たぞ。おかしな事もあるもんだ。いや、これこそ、おらが夢に見た天福だ。ばあさま、天福がさずかったんだ!」
“哎呀呀,大大小小的金币从天花板上掉下来了啊,真是怪事年年有,不对,这才是我梦见的天福。老婆子,是赐予我的天福啊!”

「ほんとになあ」
“真的耶”

 二人は大喜びです。
 两个人都非常高兴。

 こうして正直なおじいさんとおばあさんは大変なお金持ちになって、いつまでも楽しく暮らしたという事です。
 就这样,正直的老爷爷和老奶奶变成了非常有钱的人,一直幸福快乐地生活着。

おしまい
完结

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