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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) > にほんむかしばなし(日本民間故事) > 一月
1月5日の日本民話
トラとキツネ
老虎和狐狸
翻訳者 中国廣東省恵州学院 陳怡彤
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、中国のトラが海を越えて、日本へとやって来ました。
很久很久以前,中国的老虎越过大海来到日本。
日本のキツネは頭が良いと聞いたので、キツネと勝負をしようと思ったのです。
它听说日本的狐狸很聪明,所以想和狐狸一决胜负。
トラはキツネを見つけると、さっそく言いました。
当老虎找到狐狸时,他立刻说道。
「俺は中国から来たトラだ。何でもよいから、お前と勝負をしたい」
“我是来自中国的老虎。比什么都好,我想跟你一决胜负。”
「ふーん、勝負ねえ」
“嗯~,一决胜负啊”
キツネは、竹やぶを見ながら言いました。
狐狸一边看着竹林一边说道。
「勝負なら、竹やぶの中での早歩き競争はどうですか? 時間は明日の朝。こっちの竹やぶの端から出発して、反対側の端まで先に到着した方が勝ちです」
“如果要一决胜负的话,那么在竹林中进行快步竞走怎么样?时间是明天早上。从竹林的这一头出发,先到达竹林的另一头的一方胜利”
「よし、それはいい」
“好,就那样决定好了”
トラは、ニヤリと笑いました。
老虎得意地笑了。
トラは竹やぶの中に住んでいるので、竹やぶの中での早歩き競争なら勝ったも同然です。
因为老虎是住在竹林里的,所以要是在竹林里快步竞走的话,简直跟赢了没两样。
けれどキツネには、ちょっとした考えがあったのです。
但是,狐狸则有一点自己的想法。
キツネはトラと別れると、すぐに仲間のキツネを集めて早歩き競争の事を話しました。
狐狸和老虎分开之后,立刻召集了狐狸同伴说了快步竞走的事。
「いいか。ここで負けたら、我々日本のキツネの恥になる。
そこでだ。
今夜のうちから、みんなはあちこちに隠れていてほしいんだ。
そしてぼくが、
『よーい、どん!』
と、大声で言ったら、ぼくのふりをして先に反対側の端で立っているんだ。
中国のトラは、キツネと言う生き物はぼくしかいないと思っている。
だから反対側の端にキツネが立っていたら、てっきりぼくが先についたと思ってくやしがるだろうよ」
“听好了,如果在这里输了,我们就是日本狐狸的耻辱。因此。我希望从今晚开始大家能躲到(竹林的)各处去。然后我大声说着,‘好嘞,快跑!’之后(找狐狸)装作是我,先站在竹林对面的那一端。中国的老虎以为,狐狸这种生物就只有我。所以,如果狐狸站在另一端,老虎肯定会觉得我先到了,然后懊恼不已的”
「よし、わかった」
“好嘞,明白了”
仲間のキツネは、さっそくあちこちに隠れました。
狐狸伙伴立刻躲到各处去了。
さて、朝が来ました。
就这样,到了早上。
トラは大はりきりで、竹やぶの出発点にやって来ました。
老虎气势满满地来到竹林的出发点。
「では、トラさん、始めますよ」
“那么,老虎,要开始了哟”
キツネはそう言うと、大きな大きな声で
「よーい、どん!」
と、言いました。
狐狸说完,就用很大很大的声音说:“好嘞,快跑!”
するとトラは、さっそく早足で竹やぶの中を歩き始めました。
于是老虎就开始快步向竹林里走去了。
一緒に歩き始めたキツネを引き離して、ぐんぐんと竹やぶを進んで行きます。
把开始时一起走的狐狸拉开距离后,声势迅猛地顺着竹林行进。
「わはははは。おろかなキツネめ。このおれにかなうものか」
トラは、大笑いです。
老虎大笑道,“哇哈哈哈哈。愚蠢的臭狐狸。能胜得过身为老虎的我吗”
ところが反対側の端近くに来て、トラはびっくりです。
可是快要到到了(竹林)对面的一端的时候,老虎大吃一惊。
なぜなら、ずっと後ろにいるはずのキツネが、にやにや笑って立っていたからです。
要说为什么,那是因为本来应该一直在后面的狐狸却正笑眯眯地站着。
「なぜだ!」
“为什么!”
トラはくやしがって、キツネに言いました。
老虎懊恼地对狐狸说道。
「もう一度勝負だ。ここから元の場所まで競争しよう!」
“再来一次决一胜负。竞赛的地点从这里到原来的地方吧!”
「いいですよ。では」
“好的。那么(开始吧)”
キツネは、大きな大きな声で、
「よーい、どん!」
と、言いました。
狐狸说完,就用很大很大的声音说:“好嘞,快跑!”
トラは、さっきよりも頑張って、竹やぶの中を進みました。
老虎比刚才更加努力地在竹林中前进。
「よし、今度こそおれさまの勝ちだ」
“好了,这次总该是本大爷赢了吧”
そう思ったのですが、最初の場所にはすでにキツネが立っています。
可是这样想的老虎却发现,狐狸已经站在原来的地方了。
「トラさん。遅かったですねえ」
“老虎您可真是迟到啊”
トラは、またまたくやしがり、もう一回、もう一回と、それから七回も競争を繰り返しました。
老虎又懊恼了,又一次,再一次,这之后又反复竞争了七次。
でも、何度やっても同じ事です。
不过,无论多少次都是发生同样的事情。
「ちくしょう、おれさまが負けるなんて!」
“该死,本大爷居然输了!”
くたくたにくたびれたトラは、くやし涙をこぼしながら中国へ帰って行きました。
累得精疲力尽的老虎,只有流着悔恨的眼泪返回中国去了。
けれど中国に帰ったトラは、キツネに負けた事がどうしてもくやしくて、自分の家来のネコに命令しました。
可是回到中国的老虎对输给狐狸的事非常不甘心,对自己的家臣——猫命令道。
「お前たち、日本へ行って、キツネに噛みついてやれ!」
“你们去日本,把狐狸给我咬喽!”
でもトラが日本へ送ったネコは、とてもあわてん坊のネコで、『キツネ』と『ネズミ』を聞き間違えて日本に来てしまったのです。
但是老虎送到日本的猫,因为是非常冒失的猫,把“狐狸”和“老鼠”给听错了,就这样来到了日本的。
それで今でも、ネコはネズミを見つけると、追いかけまわすのだそうです。
因此据说直到现在,猫一发现老鼠,就会(对老鼠)追来赶去的。
おしまい
完结
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