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    福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 8月の日本昔話 > 二つ目のおばけ 
      8月21日の日本の昔話 
          
          
         
  二つ目のおばけ 
       むかしむかし、江戸の浅草(あさくさ)で、見世物小屋(みせものごや)をだしていた、伝七(でんしち)という男がいました。 
   あれやこれやと、いろいろやってみましたが、どうもお客が集まってきません。 
  「なにかうまい、だしものはないものか」 
  と、考えていたところ、北の国には一つ目(→詳細)小僧がいるときいて、とびあがってよろこびました。 
  「こいつは、二、三人、さらってきて、大もうけをしよう」 
   そこで、とるものもとりあえず、北の国へ旅にでかけました。 
   山をこえ、野をこえ、北へ北へと、いく日もいく日も歩いていくと、どうしたものか、暗い森の中にまよいこんでしまいました。 
   もう、日もくれかかっています。 
  「さあ、えらいこっちゃ。こんなところで野宿とは」 
   すると、どこからか歌が聞こえてきました。 
   耳をすませてみると、子どもの声です。 
  「どこで歌っているのかな?」 
   クマざさをおしわけ、声をたどっていくと、いました。 
   子どもが五、六人、わになって遊んでいます。 
   その子どもたちは、どれもこれも一つ目です。 
  (さては、ここが一つ目の国か。よーし、あの子どもをさらっていって、見世物にしてやろう) 
   伝七(でんしち)は、そーっと近づいていって、両手でグイと、ひっつかまえました。 
   とたんに、 
  「えーい、なにをする!」 
   伝七(でんしち)は、けとばされ、地面にたたきつけられてしまいました。 
   ヒョイと顔をあげてみると、おとなの一つ目に、グルリとまわりをとりかこまれています。 
   伝七はおとなの一つ目に、なわでぐるぐるまきにしばられて、 
  「わっしょ」 
  「わっしょ」 
  と、一つ目の村へかつがれていきました。 
   さて、それからまもなくのこと。 
  「さあ、いらっしゃい。いらっしゃい。世にもめずらしい二つ目のおばけだよ。このおばけ、なんと目が二つもあるんだ」 
   とうとう、伝七は一つ目の国で、見世物にされてしまったのです。 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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