|
 |
福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 10月の江戸小話 >
10月5日の小話

すり足
店に、たいせつな客がやってきたので、主人はおくの下女(げじょ→お手伝いの女性 →詳細)にむかって、
「おい、お清(おきよ)。お茶を持っておいで」
と、いいつけました。
すると、台所のほうから下女のお清が、すり足で、しずしずと茶を持ってまいります。
客が帰ったあとで、主人は、
「これお清。おまえは、いなか者だとけんそんしていたが、どうしてどうして、たいしたものだ。いまのお茶の持ってきかたなんぞ、しずしずとすり足をしてきて、まこと、うまいものであった」
と、いってほめますと、下女は、
「めしつぶをふんづけたんで、たたみに、すりつけながら、歩きました」
おしまい
|
 |
|