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      福娘童話集 > 百物語 > 五月 
         
      5月9日の百物語 
       (5月9日的日本鬼故事) 
        
       
キンモクセイの妖怪 
桂花妖 
 
    ・日本語 ・日本語&中国語 
      
      むかし、一人暮らしの侍の屋敷に、知り合いの老人がたずねてきました。 
        到好久以前、有個一個人住的武士、他認得到的老傢伙邏他來的。 
         
      二人が障子(しょうじ)を開けて、月をながめながら酒を酌み交わしていると、時々キンモクセイの甘い香りが風に乗って流れてきます。 
      打開門窗、喝酒賞月、這就時不時隨風吹來一陣桂花香、 
       
      「ああ、何て良い香りだ」 
      這味道好聞。 
       
      老人がそう言って庭の方をながめると、大きなキンモクセイの木のそばに、白い着物を着た若い女が立っていました。 
      老家夥就看院子裡面的桂花樹、發現樹旁邊站個穿白衣服的年輕女的。 
       
      青白い顔をした若い女は、じっとこちらを見ています。 
      覓(沒)得血色的臉、就對這邊看到的。 
       
      (おかしいな。少し酔っ払ったかな?) 
      看來我是醉了 
       
      老人が目をこすって若い女をさらに良く見ようとした時、その若い女がいきなり風の様に飛んで来て、老人の前にぬうっと顔を突き出しました。 
      老家夥揉了一哈眼、這次想要看到更仔細、女的化了一陣風、出現的老人家眼前了。 
       
      「うひゃ!」 
      啊啊! 
         
      老人は思わず身をのけぞりましたが、隣にいた侍は少しも驚かずに言いました。 
      老人著骸翻過去了、旁邊的武士倒是鎮靜。 
       
      「こら! 客人の前で失礼な。さっさと消えないと、たたき切るぞ」 
        喊幽靈不要放肆、骸到客人了、這不快走就抽刀了。 
         
      そのとたん、若い女はスーッと離れて行き、キンモクセイの木のかげに消えました。 
        年輕女的馬上轉身、不見到桂樹影子裡面去了。 
         
      老人はホッと胸をなでおろすと、侍にたずねました。 
      老人緩過來一口氣、拍哈自己心口前、就問武士脈絡。 
       
      「さっきのあれは、何者です?」 
        剛剛的女鬼是那個哦? 
         
      「さあ、何者でしょうか? よくは知りませんが、キンモクセイの花が咲く頃になると、毎晩の様にああやって出て来ます」 
      我其實也是不曉得、但只要桂花樹一開、每天晚上就是這個樣子的。 
       
      「毎晩? ・・・失礼だが、怖くはないのですか?」 
      每晚?這為一點都不慌了啊? 
       
      「悪さはしないので、別に何ともありませんよ。さあ、それよりも、どんどんやってください」 
      她也就只是站哪裡、其他甚麼都不搞、莫管這些了、來、吃酒。 
       
      侍は老人のさかずきに、新しいお酒をつぎました。 
      武士又繼續幫老人的杯子滿上。 
       
      老人は気を取り直してお酒を飲み始めましたが、それからしばらくすると、また若い女が出て来て、今度は縁側の前を行ったり来たりする様になりました。 
      老人家也恢復、繼續喝酒、覓好久女的又出來了、這次好像是要來屋簷的棚子底下。 
       
      若い女は歩くでもなく、氷の上を滑る様にすすーっと動き回るのです。 
        女的也不走、就跟滑冰一樣飄過來的。 
         
      老人は手が震えてお酒を飲むどころではなく、青い顔で若い女を見ていました。 
      老頭子手就一直抖、酒也不吃了、就一臉青的看到女鬼。 
       
      すると若い女は老人をからかうかの様に急に立ち止まると、老人の前に顔を突き出してニヤリと笑いました。 
      這女鬼像是有意要日弄老頭子樣的、一哈就不走了、幫腦殼往老人面前一伸、對到老人笑。 
       
      「ひぇー!」 
      啊啊啊! 
         
        老人はびっくりして、持っていたさかづきを落としてしまいました。 
        老人骸一條、杯子都著骸丟了。 
         
      「消えろというのに、まだわからんのか!」 
        都喊你走了、怎麼又出來了! 
         
      侍は刀を抜くと若い女に切りつけましたが、若い女はフワリと身をかわすと、ゆっくりと逃げて行きます。 
      武士就是一刀、女鬼漂了一哈躲過去了、慢慢跑開了。 
       
      「待て!」 
        
        侍は裸足のまま庭へ飛び降りると若い女を追いかけましたが、若い女は『早くおいで』と言わんばかりにニヤリと笑い、そのままキンモクセイの木のかげに消えてしまいました。 
        武士就打條赤腳去追、女鬼就港快來快來、還到笑、最後就不見到桂花樹影子裡面去了。 
         
      侍は若い女が消えた辺りをしばらく調べていましたが、やがてガッカリした顔で戻って来ました。 
      武士就到影子旁邊步啊 
        這就無功而返回來了、好失望。 
         
        「たたき切るつもりでしたが、見失いました。全く、しようのないやつで」 
        你坐到她就來、你去她就跑、真是覓點辦法。 
         
      「いくら何でも、殺すのはかわいそうですよ」 
      但是要真幫她殺了也有點著孽。 
       
      「とんでもない。 
        亂港 
         
      見ての通り、あれは化け物ですよ。 
      她就是條鬼。 
       
      あいつは戸が開いていれば部屋の中にも入って来るし、油断すると寝ている布団の上に座るしまつ」 
        你只要一開門她趁你不注意就鑽進屋了、有時候還坐你鋪蓋上。 
         
      「なんと! さっきも聞いたか、お前さんは怖くはないのですか?」 
      那你膽子是真大。 
       
      「まあ、確かに最初は怖かったですよ。 
        
        しかし、急に現れる以外に悪さをするわけでもないし、もう、なれっこになりました。 
        
        そうそう、刀で切りつけても手ごたえはありませんが、切りつけるとしばらくは出て来ません」 
        
      話を聞いた老人はここにいるのが怖くなり、お酒のお礼を言うとすぐに屋敷を出て行きました。 
      就是一開始有點緊張 
        她除了突然蹦出來之外、也不搞其他什麼的 
        我都習慣了。 
      你用刀砍她也就和砍空氣樣的、但是還是有用、她會暫時消失一段時間。 
      老人家覺得這裡不是條好地方、快點扯二口酒就急忙告退了。 
       
      屋敷を出た老人が屋敷を振り返ると、塀(へい)の上までキンモクセイの木が伸びていて、その花の甘い香りがふんわりと流れてきました。 
      出門後回頭望一眼屋子、桂樹枝芽探出牆頭、到外面都飄出一陣陣花香。 
       
      「キンモクセイの妖怪か。いかに悪さはしないとはいえ、よくこんな屋敷に住めるものだ」 
        桂花妖啊、膽子真的大、敢和鬼住一起。 
         
      その時、ポキッ、ポキッと、枝を折る音がしました。 
      這個時候聽到折斷聲響。 
       
      老人が塀の破れめから恐々中をのぞいてみると、さっきの若い女が木に登って、さかんに枝を折っています。 
      老人就偷偷看到圍牆縫隙裡面、剛剛的幽靈爬上枝頭、到崴(折)樹枝。 
       
      若い女は老人に気づくと、またもニヤリと笑いました。 
      鬼發現老頭了、對到別個笑。 
       
      「ひぇー!」 
      啊啊! 
       
      老人は震え上がると、あとも見ずにかけだしました。 
        老頭子著這一骸、看都不敢看了、跟到(馬上)跑了 
         
      それから数日後、老人のところに、あの侍が死んだとの知らせがありました。 
        幾天後、有人通知老人家武士死了。 
         
      侍の屋敷にかけつけた老人がふと庭のキンモクセイの木を見ると、あの若い女がやったのか、キンモクセイの枝が全て折れていて、木は枯れていました。 
      老人家就跑去老友屋子啊、看到那顆桂花樹、上面的樹枝全著崴斷完了、已經枯死、這一想肯定就是那條幽靈。 
       
      しかしキンモクセイの木は枯れているのに、侍の屋敷はキンモクセイの甘ずっぱい香りがいつまでもたちこめていたそうです。 
      但是這枯木散殘香、屋子裡面始終香氣籠罩到的。 
      おしまい 
        结束 
         
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