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4月4日の小話
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きりょうじまん
花の四月。
上野の山は、花見の客でおおにぎわいです。
下町のさるお大臣(だいじん)のむすめさんも、女中(じょちゅう→住み込みのお手伝いさん)をつれて、お花見に出かけました。
ところが、このむすめさん、なかなかのきりょう(美人、または美人ごのみ)じまんです。
みちであうむすめのひとりひとりに、けちをつけて歩きました。
やれ、背がひくいの、高すぎるの、
やれ、口は小さいが、目が大きすぎるの、
やれ、色が黒い、ひたいがひろすぎる。
花見のかえりも、出会うむすめたちを、何のかんのと、けなしつづけて、不忍池(しのばずのいけ→上野にあるハスの名所)までやってきました。
そして、池の水にうつった、自分の顔を見ると、
「これもあんまり感心した顔じゃないよ」
おしまい
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