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8月26日の世界の昔話
大入道と仕立屋
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むかしむかし、あるくたびに、ドスーン、ドスーンと、地面がゆれる、とても大きな大入道がいました。
あまりにも大きいので、頭はいつも雲の中にかくれてしまいます。
ある日、大入道はいいました。
「ひまだなあ。人間をつかまえてこよう」
ドスーン、ドスーンと大入道が森を歩いていると、一人の男が、山道でキョロキョロしています。
大入道がたずねました。
「おい。おまえはだれだ?」
「はい、町の仕立屋(したてや)でございます」
「なにしにきた?」
「はい。山の中に、いい仕事でもないかとさがしにきました」
「では、おれのうちへきてはたらかないか?」
「それはいいですが、おれいになにをくれますか?」
「もちきれないほど、金貨をやろう」
仕立屋さんは、大入道の家へいくことにきめました。
そして金貨をもらって、はやくにげだそうとかんがえました。
二人は、大入道の家につきました。
「おい、チビ。水をおけにくんでこい」
「おけにですか? なぜ、井戸(いど)ごともってこいと、いわないのですか?」
「なんだと。井戸ごとだって?」
大入道はおどろきました。
仕立屋さんは、こんな大きなことをいって、水くみにでかけました。
もちろん、おけにです。
「おい、チビ。こんどは山へのぼって、まきを五、六本とってこい」
「たったの五、六本ですか? なぜ、山中の木をたばにかかえてもってこいといわないのですか?」
「なんだと。山中の木をたばにだって?」
大入道は、目をまるくしました。
仕立屋さんはえらそうに手をふって、まきをとりにいきました。
もちろん、まきは五、六本です。
「おい、チビ。ばんごはんのおかずだ。イノシシを二、三匹とってこい」
「たった二、三匹ですか? なぜ、千匹ほどとってこいといわないのですか?」
大入道は、おどろいていいました。
「人間はとてもおそろしい。水をおけではなく、井戸ごと。まきは五、六本ではなく、山中の木だというし、おまけにイノシシは二、三匹ではなくて、千匹だという。もしかして人間は、とてもつよい生き物なのだろうか? ・・・おおっ、おそろしい。どうしたら、あいつをおいはらうことかできるだろう」
大入道はそのばん、仕立屋がこわくてねむれませんでした。
そのうちに、夜があけました。
大入道は、にわのやなぎをゆびさしました。
「おい、チビ。このやなぎのえだにのってみろ。おまえの力で、どれほどしなるかためしてみろ」
仕立屋さんは大きく息をすいこんで、やなぎのえだにのりました。
やなぎは、弓のようにしなりました。
けれども、息をとめてふんばっていることは、つらいものです。
「プハーッ!」
仕立屋さんは、大きく息をはきだしました。
そのひょうしにえだははねかえって、仕立屋さんは天高くとんでいきました。
ビューーーウ!
大入道は、大きくため息をつきました。
「やれやれ、なんとか人間を追い払うことができた」
それから大入道は、二度と人間をつかまえることはしませんでした。
おしまい
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