童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集 福娘童話集 きょうの日本昔話 福娘童話集
福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話 >クジラと海のいかり
     4月30日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
図書館記念日
きょうの誕生花
ネモフィラ
きょうの誕生日・出来事
1972年 常盤貴子 (俳優)
  4月30日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
クジラと海のいかり
きょうの世界昔話
カメのこうらはヒビだらけ
きょうの日本民話
ぼたんどうろう
きょうのイソップ童話
医者と病人
きょうの江戸小話
ウマのしっぽ
4月30日の広告


4月30日の日本の昔話

クジラと海のいかり

クジラと海のいかり

 むかしむかし、クジラとりの村で、長いこと不漁がつづき、村のみんなは困っていました。
 そのころは、お百姓(ひゃくしょう→詳細)が米をねんぐとして代官所(だいかんしょ→江戸時代、地方をおさめた役所)などへおさめたように、そこの漁師たちも、クジラの肉を殿さまへおさめていたのです。
 クジラがやってこなくては、ねんぐをおさめたくてもおさめられません。
 ほんとうにこまっていると、ある夜、親方がふしぎなゆめを見ました。
 紋付き(もんつき)の着物をきたクジラの親がきて、
「わたしらは、あす、熊野まいり(くまのまいり→和歌山県熊野三社へのおまいり)に、子クジラをつれて、この沖を通ります。どうか、こんどばかりはお見のがしください」
と、熱心にたのむのです。
 親方は、熊野まいりだというので、
「よろしい。あすは船をださん」
と、かたくやくそくしました。
 つぎの朝早く、山の見はりに、あいずののろしがあがりました。
「クジラがきたぞ!」
と、漁師たちは小おどりして、浜へいそぎました。
 親方はおどろいて、「船を出すな!」と、とめましたが、みんなききません。
 ゆうべのふしぎなゆめの話をすると、漁師たちはわらって、つぎつぎに船をこぎだしました。
 しおをふきあげ、沖にすがたをあらわしたのは、子づれのセミクジラでした。
 このセミクジラが、いちばんお肉がおいしく、お金ももうかりました。
 親方とのやくそくを信じきっていたのか、船が近づいてきても、セミクジラの親子は、ゆうゆうと泳いでいきます。
 やがて、漁師たちの船は、親子クジラをとりまき、親クジラの頭にアミをかけました。
 ハザシとよばれる漁師が、船をこぎよせ、一番モリを親クジラにうちこみました。
 そのとたん、おこった親クジラは、おそろしいいきおいで、漁師たちの船におそいかかりました。
 ふかくもぐったかとおもうと、たちまち山のような巨体をあらわして、漁師の船を空へもちあげ、また、つよい大きな尾で、べつの船をこっぱみじんにたたきわりました。
 しかも、空がにわかにくもり、すみをながしたように、まっくらになったのです。
「シケがきたぞ。つなを切れ」
 漁師たちが気づいたときは、おそすぎました。
 突風がふきだし、海はあわだって、二、三十そうもの船は、かたっぱしから波にのまれていきました。
 ぶじに浜へもどることができた漁師は、ひとりもいなかったそうです。
 そして、このことがあってから、
「セミ(セミクジラ)の子づれは、ゆめにもみるな」
と、どこの浜でもいわれるようになったのでした。

おしまい

一覧へ移動   このページを閉じる   ホームへ移動

きょうの日本昔話
ミニカレンダー
<<  4月  >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
- 広 告 -