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 元旦の日本民話
 
  
 お正月の一日目の呼び方
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   むかしむかしのお正月、ある家の物置に住んでいるネズミたちが、お正月のあいさつをしています。「明けまして、おめでとうございます」
 「おめでとうございます。どうぞ今年も、よろしくお願いします」
 その声に目を覚ましたねぼすけネズミも、だれかとあいさつがしたくなりました。
 そこで庭へ出てみると、ちょうど犬がやってきました。
 (そうだ。あの犬に、あいさつをしよう)
 ネズミは、チューチュー鳴きながら犬のところへ行って、
 「今日は、一月チュータチですね。おめでとう」
 と、言いました。
 すると、いつもワンワン鳴いている犬が、
 「はい、おめでとう。でも、今日はチュータチじゃない。ワンジツじゃ」
 と、言いました。
 「ワンジツだって? いいえ、今日はチュータチですよ」
 ネズミは、むっとして言いかえしました。
 すると、犬も腹を立てて、
 「チュータチなもんか。今日はワンジツじゃ!」
 と、言いました。
 「チュータチ!」
 「ワンジツ!」
 二匹は言い争っているうちに、とうとう喧嘩になってしまいました。
 「よし! それではどっちが正しいか、誰かに聞いてみよう」
 「いいとも、いいとも。誰に聞いたところで、今日はワンジツだけどな」
 その時、向こうからネコがやってきました。
 そこで、犬が聞きました。
 「ネコさん。ちょっと尋ねるが、今日はチュータチと思うか? それともワンジツと思うか?」
 「さあ? どっちでもいいんじゃない?」
 ネコは、興味なさそうに答えました。
 「どっちでもいいでは困る。ワンジツだろ!」
 「いいや、チュータチだよね!」
 「・・・うーん」
 困ったネコは、しばらく考えていましたが、
 「さあ、わたしには、ニャンとも言えないが、それより腹が減ってきた」
 と、言いながら、ネズミの顔をじろっと見ました。
 「わ、わ、わたしを食べないでー!」
 ネズミは、あわてて物置の中へ逃げていきました。
 それを見て犬が、
 「ほれ見ろ。やっぱりわしの言った通りだ」
 と、言いました。
 するとネコが、こわい顔で怒鳴りました。
 「わたしの大切な食べ物を逃がしてしまって、ニャンとしてくれる!」
 
 この話し、なかなか終わりませんね。
 おしまい   
 
 
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