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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 1月の江戸小話 > お国は火事 
      1月4日の小話 
        
      お国は火事 
        ある店で、田舎から出てきたばかりの男をやといました。 
   主人は、仕事をいろいろとおしえ、客へのあいさつは、とくにていねいにするようにと、おしえました。 
   あるとき、越前の国(えちぜんのくに→福井県)から客がやってまいりました。 
   男は、さっそく、客の前へ出ると、 
  「これはこれは。お寒い時分(じぶん)に、ようおいでなさいました。今年は、こちらも雪がおおく、お国もこの分では、さぞかし大雪でございましょう」 
  と、あいさつをすると、 
  「よしよし。よいあいさつができたな。これからも、そのちょうしでな」 
   主人に大そうほめられました。 
   それから半年たった夏に、また、越前からこの前の客がやってまいりました。 
   男はさっそく、 
  「これはこれは。おあつい時分に、ようおいでなされました。今年は、こちらもひどいあつさでございます。お国も、この分では、大火事でございましょう」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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