| 
      | 
    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 3月の江戸小話 > やっとわかった 
      3月4日の小話 
        
      やっとわかった 
        ある男が、 
  「銭をひろうとうれしいというが、おれは一度もひろったことがない。いっぺんひろってみたいものだ」 
  と、外へ出ると、目玉を皿のように大きくして、下ばかりみて歩いていましたが、やっぱり銭はおちていません。 
   そこで、この男は、 
  「こうなったら、自分の銭をおとして、ひろってみるか」 
  と、一文銭(30円ほど)を投げて、ひろってみましたが、ちっともおもしろくありません。 
   そこで、 
  「ちと、遠くへ投げてみよう」 
  と、ひょいと投げると、運悪く、どぶの中におちてしまいました。 
   さあ、男は大さわぎで、一日中どぶさらいです。 
   やっとさがしだした一文銭をながめて、 
  「やっと、わかった」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
     | 
      | 
     |