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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 3月の江戸小話 > 春はさぞかし 
      3月5日の小話 
        
      春はさぞかし 
        ふたりの男が、話をしておりました。 
  「おまえさんの生まれたところは、寒い国とききましたが」 
  と、ひとりがいうと、もうひとりの男は、 
  「さようでござります。寒中(かんちゅう→冬の寒い時期)などは、はしをぜん(料理をのせる台)におきますと、くっついてしまって、もう食べることもできませんな。ちょっと話をしても、話が、かベへすぐこおりついてしまいます。ですから、寒中の話は、のこらずかべにこおりついておりますな」 
   すると、先ほどの男が、 
  「それはそれは、春は、さぞかし、やかましいことでございましょうな」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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