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    福娘童話集 > きょうの日本民話 > 2月の日本民話 > お酒の好きな子ザル 
      2月11日の日本民話 
          
          
         
  お酒の好きな子ザル 
  広島県の民話 → 広島県情報 
       むかしむかし、ある山に、お母さんと子どものサルがすんでいました。 
   こまった事に子ザルはお酒が大好きで、こっそり人の家にしのびこんでは、お酒をなめていました。 
  「酒をのむとは、めずらしいサルだ。よし、あのサルをつかまえてやろう」 
   それを見た猟師(りょうし)は、おけにいっぱい酒を入れて、山のサルの通る道へおきました。 
  「くんくん。おや、いいにおいがするぞ」 
   においをかぎつけた子ザルが、おけのところにやってきました。 
  「わあっ、お酒だ」 
   子ザルは大喜びで、お母さんのところへ行って言いました。 
  「あのね、山道にお酒があるよ」 
   するとお母さんザルは、こわい顔で言いました。 
  「だめだめ! お前をつかまえようとして、猟師がわざとおいたにちがいない。どんなことがあっても、飲んではいけませんよ!」 
   でも、お酒の好きな子ザルは、がまんができません。 
  「一口だけなら、のんでもいい?」 
  「だめだめ!」 
  「なめるだけなら、いい?」 
  「だめだめ!」 
  「なら、においをかいでもいい?」 
   あんまりしつこく言うので、お母さんザルは、 
  「においをかぐぐらいならいいけど、ぜったいに飲んではいけませんよ」 
  と、言ってしまったのです。 
   子ザルはすぐにおけのところへ飛んでいって、お酒のにおいをかぎました。 
  「ああ、いいにおいだ。おいしそうだなー」 
   においだけと、お母さんザルと約束しましたが、でもにおいだけなんて、とてもがまんができません。 
  「一口ぐらいなら、いいだろう」 
   子ザルはお母さんとの約束を忘れて、ゴクリとお酒を飲みました。 
  「おいしいな。もう一口」 
  「これでおわりにしよう。もう一口」 
  「さいごに、もう一口」 
  「おしまいに、もう一口」 
  「おまけに、もう一口」 
  「ぷはーっ、・・・よっぱらっちゃった」 
   おけのなかのお酒をすっかり飲んでしまった子ザルは、そこへたおれて動けなくなりました。 
  「しめしめ、うまくいったぞ」 
   さっきから木の後ろにかくれていた猟師は、たおれている子ザルをひろいあげると、山をおりていきました。 
   かわいそうに子ザルは、お母さんとの約束を守らなかったために、二度とお母さんのところへもどることができませんでした。 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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