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7月21日の世界の昔話
ほらふき男爵 冬のロシアの旅
ビュルガーの童話 → ビュルガーの童話の詳細
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
これは、冬のロシアヘ旅行をした時の話しだ。
「たしかこの辺りに、大きな町があったはずだが?」
馬に乗って町へやって来たつもりが、辺りは一面の銀世界。
日が暮れてきたのに、ここには人家一つなかった。
「仕方がない。今夜はここで野宿だ」
わがはいは雪の上に出ていた杭(くい)に馬をつなぐと、雪をベッドに一夜を明かした。
そして朝になり、起きてみて驚いた。
いつの間にか、わがはいは町の大通りのまん中に寝ていて、雪の上の杭につないだわがはいの馬が、教会の屋根の風見(かざみ→風向きをしる道具)にぶらさがっていたのだ。
「・・・なるほど、そうか」
溶けていく雪を見て、その理由がわかった。
わがはいが杭と思って馬をつないだのは、そもそもあの風見であったのだ。
あまりの寒さに町ごと雪にうまっていたのが、朝になって雪が溶け出したために、わがはいは道にしずみ、馬は屋根にとり残されてしまったのだ。
わがはいは鉄砲を撃ってウマの手綱(たづな)を切り離すと、何とか愛馬を取り戻した。
雪の上で野宿をするときは、雪の下に町が埋まっていないか確かめよう。
これが、今日の教訓だ。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
わがはいは、ミュンヒハウゼン男爵(だんしゃく)。
みんなからは、『ほらふき男爵』とよばれておる。
今日も、わがはいの冒険話を聞かせてやろう。
今日の話しは、雪に埋まった町を出た後の話だ。
雪のロシアで馬に乗っての旅はやっかいだったので、わがはいはソリを手に入れると、ウマにソリを引かせて旅を続けた。
すると森の中から、一匹のオオカミが現れたのだ。
オオカミが飛びかかってきたので、わがはいはあわててソリに身をふせたが、オオカミの狙いはわがはいではなく馬の方だった。
オオカミは馬の尻に食らいつくと、みるみるうちに馬を食いはじめ、ぐいぐいと馬の体の中にもぐっていった。
馬はくるったように走り続け、わがはいがムチを打つと馬の中のオオカミもくるったように走り続けた。
そしてオオカミに食い尽くされたウマの皮がスルリと抜け落ちると、何と馬具におさまったオオカミが、馬の代わりに雪をけちらしていたのじゃ。
こうしてオオカミは馬の代わりに走りに走って、わがはいを目的地まで運んでくれた。
その時の町行く人々のおどろいた顔は、まことにけっさくであった。
『馬がオオカミに襲われても、決してあわてるな。
うまくすればオオカミが、その馬の代わりになるであろう』
ちと長いが、これが、今日の教訓だ。
では、また次の機会に、別の話をしてやろうな。
おしまい
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