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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 12月の江戸小話 > こまったくせ
12月3日の小話
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こまったくせ
ひとのもちものを、なんでも値ぶみ(値段をつけること)するくせのある男のところに、ともだちがあそびにきました。
ともだちが、りっぱな銀ぎせる(→詳細)をとりだして、一ぷくしていると、
「いやあ、みごとなきせるだ。一両(七万円)は、しただろう」
いつものくせで、値ぶみをはじめました。
「あんたは、すぐにそうやって、値ぶみをしたがるが、値ぶみをされるほうは、いい気もちがせんぞ。あんたのためをおもって、ともだちだからこそいうのだが、これからは、値ぶみぐせをなおしなさい」
ともだちがたしなめると、
「よくぞ、いいにくいことをおっしゃってくれた。もつべきものは、やっぱりともだち。そのごしんせつには、三両のねうちがある」
と、いいました。
この男の値ぶみくせは、一生なおらないでしょう。
おしまい
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