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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 6月の江戸小話 > つみなひとだま 
      6月17日の小話 
        
      つみなひとだま 
        あるところに、ひとにおかねをかしては、たかいりそくをとって、おかねをたくわえた男がいました。 
 にんじょう(人を思いやる気持ち)なんてものは、かけらもありません。 
 やくそくの日がくれば、びょうにんのふとんまで、はがしてくる、という男でした。 
 ある日の夕ぐれ、この男がかしたお金のとりたてに歩いていると、自分の耳のあなから、ふわーっと、人だま(→詳細)がぬけだして、どこかへ飛んでいってしまいました。 
「たっ、たいへんだー!」 
 人だまがぬけだすと、長くても三年のいのちと言われています。 
 もしかすると、きょう、死ぬかもしれません。 
「こうなれば仕方ない。せったく、たくわえたおかねだ。死ぬ前に、ぜんぶ使ってやろう」 
 男はどんどん金を使いました。 
 そして、すべての金を使って、一文無しになったとき、人だまが、ひょっこり戻ってきていいました。 
「すまない、すまない。とびだす日をまちがえてしまった。おれが出て行くのは、あと五十年後だった。これからも、よろしくな」 
「ばかやろう! いまごろかえってきても、おそいわ!」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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