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3月7日の日本の昔話
馬鹿坊主
むかしむかし、ある村に、吾作(ごさく)と言う酒好きな男がいました。
酒を飲めばフラフラと外へ出かけて、所かまわずに寝てしまうので、女房もホトホト困り果てていました。
ある日の事、吾作がいつもの様に大酒を飲んで道の上に大の字になって眠りこけていると、そこへ村の若い者が三人通りかかりました。
「おお、何とだらしない男じゃ。女房子供がありながら働きもせんと、真っ昼間から酒ばかり飲みやがって。こんな奴は、頭を丸坊主にしてやろう」
そこで三人の若者は、眠りこけている吾作の頭をかみそりでツルツルにそってしまいました。
さて、そうとは知らない吾作は、眠りから覚めると頭が涼しいのに気づきました。
そっと頭に手を当ててみると髪の毛は一本もなく、丸坊主になっているではありませんか。
吾作は、ビックリです。
「こっ、これは、どうした事じゃ? この坊主は、わしか? いや、わしは坊主になった覚えはないぞ」
吾作は、自分が自分でない様な気がしました。
そこで吾作は急いで家に帰り、女房に確かめてもらう事にしました。
「これ女房、この坊主頭の男は、本当にわしか?」
すると丸坊主にされた吾作の姿にあきれかえった女房は、怒って怒鳴りつけました。
「この馬鹿坊主! あんた何か家の人じゃない! どこへでも出て行け!」
女房に馬鹿坊主と言われた吾作は、
「ああ、やっぱりわしは、今までのわしではなく、坊主だったんだ」
と、勘違いをして自分の家を飛び出すと、何とそのまま本物のお坊さんになってしまい、家には二度と帰って来なかったそうです。
おしまい
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