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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 8月の江戸小話 > うそつきの名人 
      8月9日の小話 
        
      うそつきの名人 
        むかしむかしあるところに、うそつきの名人がいました。 
   あまりに上手にうそをつくので、だまされた人はおこるどころか感心してしまうほどでした。 
   あるとき、お城の殿さまがこの男を呼び寄せました。 
  「おまえはうそつき名人だそうだな。うまくわしをだませたなら、何でもすきな物をやろう」 
   すると、男がこたえました。 
  「実は、わたしがうそをつくには『うそつきぶくろ』と言う物がいるのです。今日は家のたんすの上にその袋をおいてきたので、取ってこないとうそをつけません」 
   殿さまは、家来をすぐに男の家にやりました。 
   しばらくして、家来は戻ってくると殿さまにいいました。 
  「男の家のすみからすみまでさがしましたが、『うそつきぶくろ』などありませんでした」 
   それをきいて、男はいいました。 
  「そうです。もともとそんなふくろはありません。これがうそです」 
  「むっ、あっぱれじゃ!」 
   見事にうそをつかれた殿さまは大よろこびで、うそつき名人にたくさんのほうびをあげました。 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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