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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 8月の江戸小話 > えんがない 
      8月15日の小話 
        
      えんがない 
        あるところに、あわてものの、むすめがいました。 
   いよいよ、よめにいくというので、おっかさんがむすめに言いました。 
  「およめにいっても、いやなことをがまんすることはないよ。えん(人とのつながり・うんめい)があればいいが、もし、えんがなければ、しかたがない。あきらめて帰っておいで」 
   あくる日、むすめは、りっぱなはなよめになって、おむこさんのうちへ行きました。 
   こんれい(けっこんのぎしき)がすんで、つぎの日の朝になりました。 
  「おっかさんが、いってたけど、えんがあるかしら? ないかしら?」 
   むすめは、おむこさんの家じゅうをさがしてみましたが、この家にはえんがわがありません。 
  「短い間でしたが、お世話になりました。この家には、えんがありませんので、あきらめて帰ります」 
   およめさんは、おむこさんにそう言って、うちへ帰って行ったということです。 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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