| 
      | 
    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 8月の江戸小話 > ひょうさつ 
      8月19日の小話 
        
      ひょうさつ 
        お盆休みに帰ってきた者どうし、おしゃべりをしております。 
   ひとりの男が、 
  「おれのところの主人ほど、ものおぼえの悪い主人はいないぞ」 
  と、いうと、ほかの男は、 
  「はて、そりゃあ、なぜだい」 
  「いつもいる奉公人(ほうこうにん→めしつかい)の名前を、二度も三度もきいても、まだ、おぼえられねえそうで、紙にかきつけているのだ」 
   すると、そばからほかの男が、 
  「おまえのところの主人は、まだよいほうだぞ。おれんとこのだんなは、そんなものじゃねえ。なにせ、自分の名前をわすれないように、板に書いて表門の所に、くぎで打ち付けるんだから」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
     | 
      | 
     |