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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 8月の江戸小話 > 消えた小判 
      8月24日の小話 
        
      消えた小判 
        あるところに、化け物が出るといううわさがたちました。 
  「ようし、おれが、化け物のしょうたいを、この目でみとどけてくれる」 
   きものふとい若者が、うわさのあばら家にのりこんでいきました。 
   さて、そのばんのこと。 
   若者が、化け物をまちかまえていると、いきなり、しょうじをつきやぶって、大にゅうどうがあらわれました。 
  「ほう、これはおもしろい」 
   若者が手をたたいてよろこぶと、大にゅうどうはたちまち、のっぺらぼうにすがたをかえ、次には、からかさおばけにばけました。 
  「これだけのものは、みせもの屋でもみられんわい」 
   若者がなおよろこぶと、化け物は、今度は小判にばけて、チャリンと、土間(どま→家の中で、地面のままのところ。このばあいは、だいどころ)におちました。 
  「しめたっ」 
  と、若者がひろおうとすると、パッと、小判が消えてしまいました。 
   若者の、くやしがったこと、といったらありません。 
  「あのままで、もう少しながいあいだ、ばけていてくれたら、うまいものがたらふくくえたのに」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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