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      5月4日の小話 
        
      きびだんご 
        桃太郎さんの、その後のお話でございます。 
 鬼ヶ島(おにがしま)の手がらで、すっかり有名になった桃太郎さんは、鬼からうばいとった宝物を売って、殿さまのような豪遊生活(ごうゆうせいかつ→お金を使って、あそびほうけること)を続けておりましたが、ついに、手持ちの宝物がなくなってまいりました。 
 人間というものは、いちど遊びを覚えると、なかなか元の生活には戻れません。 
 そこで桃太郎さんは、おじいさんとおばあさんにいいました。 
「すみませんが、また、きびだんごを作ってもらえませんか。今度は、竜宮(りゅうぐう→海の底にある、竜神のすみか)ヘいって、どっさり、宝をいただいてきますので」 
「よしよし、がんばっておいで」 
 桃太郎さんは、作ってもらったきびだんごをこしにさげると、家を出ました。 
 しばらく行きますと、 
キャッキャッキャ 
キャッキャッキャ 
 サルが、やってきました。 
「桃太郎さん、桃太郎さん。お久しぶりです。今度は、どちらヘおいでて」 
「サルどのか。竜宮へ宝物を取りにいくのだ」 
「ほう。今度は、竜宮ですかい。あそこには、めずらしい宝物が、山のようにあると聞きますからね。して、れいの物はありますか?」 
「もちろん。さあ、日本一のきびだんごだ。一つやるから、おともせい」 
 桃太郎は、こしのふくろから、きびだんごを一つ出して、サルにやりました。 
 サルは、だんごを手にとって、ふしぎそうにながめておりましたが、 
「桃太郎さん。このだんごは、前のにくらベると、ずいぶん小さくなりましたねえ」 
「うん。ちかごろは、なにもかも値上がりでな」 
      おしまい 
                  
         
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