福娘童話集 > きょうの日本昔話 福娘童話集 きょうの日本昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
     5月11日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
長良川鵜飼い開き
きょうの誕生花
やぐるまそう
きょうの誕生日・出来事
1963年 浜田雅功 (芸人)
  5月11日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
海ぼうず
きょうの世界昔話
スガンさんのヤギ
きょうの日本民話
おじいさんはくさかった
きょうのイソップ童話
子ヒツジを食べるヒツジ飼い
きょうの江戸小話
なまけ者
広告
 


福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 5月の日本昔話 > 海ぼうず

5月11日の日本の昔話

海ぼうず

海ぼうず

 むかしむかし、あるところに、荷物船でにぎわう港がありました。
 あるときのこと。
 夏だというのに、今にも雪がふりだしそうな、はだ寒い天気です。
 船頭たちが集まって、
「どうしたわけだ。寒うてかなわん」
「おかしな日よりじゃ。こんな日は、船をださんほうがええ」
「ああ、なにがおこるか、わからんからな」
と、はなしあっておりました。
 すると、ひとりの船頭が、
「なあに、一日休めばそれだけだちんがへるわ。ゆうれい船でも海ぼうずでも、でてきよったら、とっつかまえてやるわい」
と、人がとめるのもきかずに、ひとりで荷物船をあやつって、港をでていきました。
 ところが、おきへでていくらもしないうちに、
「おうい、おうい」
と、だれかが、よぶ声がきこえてきたのです。
「はて、こんな海のなかで、なんじゃろ」
 ろを休めてあたりをみわたしましたが、なにもみえません。
「ふん、そら耳か」
 船頭はまた、ろをこぎはじめました。
 そんなことが、二ど、三どとつづきましたが、船頭はたいして気にとめず、船をすすめていると、こんどはすぐ後ろから、
「おうい、おうい」
と、きこえたのです。
 おもわずふりかえってみると、生白いものが、大きくなったり小さくなったりしながら、船のうしろにとりついていました。
「これは、海ぼうずだ!」
 船頭は、あわててひしゃくを手にすると、
「こうしてくれるわ!」
と、ひしゃくの頭で、海ぼうずをなぐりつけました。
 とたんに海ぼうずは、海のなかへもぐってしまいました。
と、おもうまに、ふたつになって顔をだしたのです。
 ビックリしてまたなぐると、こんどは四つになりました。
「な、なんてやつらだ」
 船頭がなぐればなぐるほど、海ぼうずは数をばいにしていきます。
 そうして、うすきみ悪いわらい声をだしながら、きゅうに小山のように大きくなったり、みるみるしぼんだりしながら、船のまわりにとりついてきます。
「こりゃ、どうもならん」
 船頭はひしゃくをなげすてると、力まかせにろをこぎだしました。
 ところが、海ぼうずたちがじゃまをして、船は前にすすみません。
 それどころか、右へ左へと、船をゆさぶるのです。
 船頭がきもをつぶして、
「た、たすけてくれ!」
と、さけぶと、海ぼうずたちのすがたが、フッと、きえてしまいました。
「・・・ああ、たすかったか」
 ホッと息をついてあたりをみまわすと、また、海がザワザワとさわぎはじめ、こんどは、さっきなげすてたひしゃくと同じものが何十本もでてきて、船のなかへ、ザブンザブンと、水をくみ入れはじめたのです。
「な、なにするか!」
 けんめいに水をかきだしますが、間に合いません。
 海ぼうずたちは、つぎつぎに顔をだして、
「はよう、しずんでしまえ。しずんでしまえ」
と、いいながら、あとからあとから、水をくみ入れました。
「やめてくれえ。たすけてくれえ」
と、船頭がなきさけびますが、水はドンドンあふれて、ついに船はしずんでしまいました。
 海へなげだされた船頭は、死にものぐるいでおよぎはじめましたが、すぐに足をつかまれ、くらい海の底へ引きずり込まれてしまったのです。

おしまい

前のページへ戻る


きょうの日本昔話
ミニカレンダー
<<  5月  >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
女の子応援サイト -さくら-
誕生日占い、お仕事紹介、おまじない、など
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識