不思議の国のアリスアリスインワンダーランド 公開記念 不思議の国のアリス 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
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アリスインワンダーランド
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第 7話  

不思議の国のアリス
イラスト 「夢宮 愛」  運営サイト 「夢見る小さな部屋」

白ウサギの家

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「葉月優蘭」  葉月優蘭

 ネズミに教えてもらった方向へ泳いで行くと、すぐに岸がありました。
 岸にあがったアリスが服を脱いで乾かしていると、パタパタと足音を立てながらあの白ウサギが現れました。
 白ウサギはちょこちょこ走りながら何かを探している様に、きょろきょろとあたりを見まわしています。
 服を着たアリスがウサギに近づくと、ウサギが何かをぶつぶつ言っているのが聞こえてきました。
「困ったなあ。
 弱ったなあ。
 どうしよう?
 女王さまは、きっとぼくを死刑にしてしまうぞ。
 いったい、どこに落としたんだろう?」
 それを聞いて、アリスにはすぐに見当がつきました。
 ウサギが探しているのは、あのせんすと白い皮の手ぶくろです。
 アリスはスカートのポケットを探してみましたが、せんすと白い皮の手ぶくろはありません。
「そうか。せんすはあの広間で放り投げてしまったし、手ぶくろは泳いでいる間に脱げてしまったんだわ」
 その時、ウサギがアリスを見つけて怒った声で言いました。
「おーい、メアリアン。
 こんなところで、何をしてるんだ?
 すぐに家へ行って、手ぶくろとせんすを取ってくるんだ」
「えっ? 家って」
「おいおい、家の場所も忘れたのか?
 家は、この先をまっすぐだ。
 手ぶくろとせんすは2階にあるから、早く取ってくるんだ」
 アリスはウサギに言われるまま、ウサギが指さした方へかけ出しました。

「あのウサギ、あたしを自分のお手伝いさんだとかんちがいしているんだわ。
 たしかにこの姿は、お手伝いさんに見えないこともないわね」
 やがてアリスは、きれいな小さい家の前に来ました。
 家の門にはピカピカに磨かれたしんちゅうの表札が出ていて、そこには《ウサギの家》と書いてありました。
「あっ、ここね」
 ドアにはカギがかかっていなかったので、アリスは2階へ上がっていきました。
 アリスが2階の部屋に入ると窓ぎわにテーブルがあり、そのテーブルの上に、せんすと小さな白い皮の手ぶくろがありました。
 それらを取って部屋を出ようとした時、カガミのそばに小さなビンがあるのに気づきました。
 そのビンには《drink me》『わたしをお飲みなさい』とは書かれてありませんが、あの広間にあった《drink me》のビンと同じビンです。
「きっと、これを飲めば何かが起こるわね。
 小さくなるか大きくなるかわからないけど、ちょっとなめてみようかな。
 こんなおチビちゃんは、もうあきちゃったもんね」
 アリスはそう言ってビンのせんを抜くと、中の液体をちょっぴりなめてみました。
 すると思った通り、アリスの小さな体がどんどん大きくなって、頭が天井にぶつかってしまいました。
「あいた! この薬は、ちょっと強すぎるわ」
 まだまだ大きくなるので、アリスは首の骨を折らないように腰をかがめなければなりません。
「もういいわ。
 これ以上、大きくならないで。
 このままじゃ、ドアから出られないわ」
 でもアリスの体は、まだまだ大きくなります。
 部屋いっぱいに大きくなったアリスは、仕方なく窓から腕を突き出して足を煙突に突っ込みました。
「あたし、どうなるのかしら?」
 するとようやく、魔法の薬の効き目が止まりました。
 これ以上は大きくなりませんが、このままでは部屋から出ることが出来ません。
 アリスはまた、悲しくなってきました。
「こんな事になるなら、家にいた方がよかったわ。
 家にいれば、大きくなったり小さくなったりする事もないし、ウサギにこき使われる事もないんだもん。
 そうと知っていれば、あのウサギの穴をおりて来なかったのに。
 ・・・でも、こんな風におとぎの世界で暮らすのも、変わっていて面白いかもしれないわ」
 アリスはきゅうくつそうに、自分の大きな体をながめました。
「そう、おとぎの世界よ。
 きっとあたし、おとぎの世界に入り込んでいるんだわ。
 もしかすると、あたしの事を書いた本が学校の図書室にあるかも。
 そうよ、あってもいいはずだわ。
 もしなかっても、あたしがこのお話しを書くわ。
 そうそう、おとぎの世界にいるなら、このままいつまでも年を取らないかも。
 あたし、おばあさんにならなくていいんだわ。
 ああでも、そうなったらいつまでもお勉強をさせられるわね。
 そんなの、いやだなあ。
 ・・・まあ、ばかねえ、アリス。
 こんなところで、どうやってお勉強をするというの?
 あなた一人の体も入らない小さな部屋に、教科書なんか置けないじゃないの」
 こんな風にアリスが一人でお話しをしていると、外の方から声が聞こえてきました。

おわり

続きは第8話、「火をつけろ」

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不思議の国のアリス

赤いベストのウサギ

ウサギの穴での一人言

ドリンク ミー 《drink me》

イート ミー 《eat me》

涙の池

ネズミはネコが大きらい

白ウサギの家

火をつけろ

水キセルの毛虫

ヘビになったアリス?

チェシャネコ

気ちがいのお茶会

♪バラの花を、赤くぬろうよ

ハートの女王

クロッケー遊び

娘の首をはねておしまい!

裁判

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アリスのはんげき

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