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第 1話
イラスト 「夢宮 愛」 運営サイト 「夢見る小さな部屋」
赤いベストのウサギ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「葉月優蘭」 葉月優蘭
このお話しの主人公アリスは、ちょっとくせ毛のブロンドヘアーがお似合いの、かわいい7才の女の子です。
一人でさんぽに出かけたアリスは、川のそばで本を読んでいるお姉さんを見つけると、その横にちょこんと座りました。
でも、何もする事がないのでたいくつです。
「あぁー」
アリスは小さなあくびをすると、お姉さんが読んでいる本をのぞいてみました。
その本は歴史の本で、さし絵も会話もありません。
「えーと、エドウィン伯爵(はくしゃく)とマルコ伯爵が・・・。なんだ、文字ばっかりで絵も会話もないわ。こんな本なんて、つまらない」
アリスはお姉さんに聞こえるように言いましたが、お姉さんは本にむちゅでアリスの言葉には答えません。
アリスはしかたなく、一人で遊ぶことを考えました。
「ひなぎくの花で首かざりを作るのはどうかしら。
・・・でも、わざわざ立ちあがってつみに行くのも、何だかめんどくさいなあ。
ああ、何か楽しいことはないかしら?」
その時、赤い目をした白いウサギが、森の中から飛び出してきました。
このあたりにはウサギがたくさんいるので、ウサギが飛び出してきてもめずらしくはありませんが、そのウサギが赤いベストを着ていれば話は別です。
しかもそのウサギはベストのポケットから時計を取り出すと、人間の言葉でこう言ったのです。
「しまった! もうこんな時間だ! 大変だ、大変だ。おくれるかもしれないぞ」
ウサギはポケットに時計をしまうと、あわてて行ってしまいました。
アリスはパッと立ち上がると、自分のほっぺたをつねってみました。
「いたーい!」
どうやら、夢ではなさそうです。
「ベストを着たウサギがポケットから時計を引っぱり出すなんて、生れて初めて見たわ。
それに、あんなに急ぐところを見るとパーティーかもしれない。
わあー、おもしろそう」
アリスは楽しくなって、むちゅうでウサギのあとを追いかけました。
おわり
続きは第2話、「ウサギの穴での一人言」
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