最 終 話
イラスト 「夢宮 愛」 運営サイト 「夢見る小さな部屋」
現実の世界へ
気がつくとアリスは、お姉さんのひざをまくらにして寝ていました。
お姉さんは上の木からひらひらとまい落ちて来る木の葉を、やさしくアリスの頭から払いのけていました。
「ようやく起きたのね、アリスちゃん。あなた、ずいぶん長いこと寝てたわよ」
「まあ、あたし、とってもおかしな夢をみたわ」
アリスはそう言って思い出すかぎり、今までみなさんが読んできたアリスの不思議な冒険の事をお姉さんに話しました。
「それでね、最後にハートの女王さまをぶん投げたわ」
アリスが話し終わると、お姉さんはアリスのほっぺたにやさしくキスをして言いました。
「本当に、おかしな夢だったわね。
でも早くお家へ帰って、おやつをいただいてらっしゃい。
もう、おそいのよ」
「はーい」
アリスは立ちあがると、家に向かってかけ出しました。
お姉さんはアリスが去ったあと、沈んでいく夕日を見ながらアリスの不思議な冒険話を思い出しました。
そしてかわいい妹が、大人になったときのことを想像してみました。
アリスは大人になっても、ずっと子どもの頃のすなおなやさしい心をなくさずにいるでしょう。
そして自分のまわりに子どもたちを集めて、さっきの不思議なお話を子どもたちに聞かせることでしょう。
おわり
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