366日への旅 記念日編 366日への旅
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3月2日 遠山の金さんの日

3月2日 遠山の金さんの日

 1840(天保11)年のこの日、遠山の金さんこと遠山左衛門尉景元が北町奉行に任命されました。
 1843(天保14)年2月24日まで在職しています。
 江戸には北町奉行所と南町奉行所があり、1ヶ月ごとに、交替で勤務にあたっていました。

記念日アニメ
遠山の金さんの日

名裁きに関する昔話
(大岡越前の話 → 大岡越前の詳細)

ほんとうの母親
福娘童話集より

ほんとうの母親

 江戸の下町(したまち)に、おしずと、たいちという親子がすんでいました。
 たいちは、ことし十さいになるかわいい男の子でした。
 おしずは、たいちをとてもかわいがってそだてていたのです。
 ところが、ある日。
 とつぜん、おこまという女の人がやってきて、
「おしずさん、たいちはわたしのむすこ。むかし、あなたにあずけたわたしのむすこです。かえしてください」
と、いうのです。
 おしずはおどろいて、
「なにをいうのです。あなたからあずかった子は、もう十年も前になくなったではありませんか。このことは、おこまさんだって知っているでしょう」
「いいえ、うそをいってもだめです。おまえさんは、自分の子が死んだのに、わたしの子が死んだといってごまかして、わたしのむすこをとりあげてしまったんじゃありませんか。わたしはだまされませんよ。さあ、すぐにかえしてください!」
 おこまは、こわい顔でそういいはるのです。
 おしずが、いくらちがうといってもききません。
 毎日、毎日、やってきては、おなじことをわめきたてていくのです。
 そして、しまいには、顔にきずのある、おそろしい目つきの男をつれてきて、
「はやくかえしてくれないと、どんな目にあうかわからないよ!」
と、おどかすのです。
 おしずはこまりはてて、町奉行(まちぶぎょう)の大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ→ 詳細)にうったえました。
 越前守は話をきくと、おこま、おしず、たいちの三人をよびました。
「これ、おこま。おまえは、そこにいるたいちを自分のむすこだといっているそうだが、なにか、しょうこはあるのか?」
「はい。じつはこの子が生まれましたとき、わたしはおちちが出なかったので、おしずさんにあずけたのです。このことは、近所の人がみんな知っています。だれにでもおききになってください」
 おこまは、じしんたっぷりにこたえました。
「では、おしずにたずねる。おまえは、おこまの子どもをあずかったおぼえがあるのか?」
「はい。ございます」
 おしずは、たいちの手をしっかりとにぎりしめていいました。
「この子が生まれたとき、わたしはおちちがたくさん出ました。それで、おこまさんの子どものひこいちをあずかったのです。でも、その子はまもなく、病気で死んでしまいましたので、すぐにおこまさんに知らせたのでございます」
 おしずのことばをきくと、おこまはおそろしい目で、おしずをキッと、にらんでさけびました。
「このうそつき! お奉行(ぶぎょう)さま、おしずは大うそつきです。死んだのはおしずの子です。わたしの子どもをかえしてください!」
「いいえ、死んだのは、たしかにひこいちだったんです。お奉行さま、まちがいありません。おこまの子は死んだのです」
「まだそんなことをいって! 人の子をぬすんだくせに!」
「たいちはわたしの子だよ。だれにもわたしゃしない。わたしのだいじな子なんだ!」
 ふたりは、お奉行さまの前であることもわすれて、いいあらそいました。
 そのふたりのようすをジッとみつめていた、越前守は、やがて、
「ふたりとも、しずまれっ!」
と、大声でしかりました。
 おこまとおしずは、あわててはずかしそうに、すわりなおしました。
「おこま。そのむすこがおまえの子どもである、たしかなしょうこはないか? たとえば、ほくろがあるとか、きずあとがあるとか。そういう、めじるしになるようなものがあったら、いうがいい」
「・・・いいえ。それがなにもありません」
 おこまは、くやしそうに首をよこにふりました。
「では、おしず。そちはどうじゃ?」
 おしずもざんねんそうに、首をふりました。
「なんにもございません」
「そうか」
 越前守はうなずいて、
「では、わしがきめてやろう。おしずはたいちの右手をにぎれ。おこまはたいちの左手をにぎるのじゃ。そして引っぱりっこをして、かったほうを、ほんとうの母親にきめよう。よいな」
「はい」
「はい」
 ふたりの母親は、たいちの手を片方ずつにぎりました。
「よし、引っぱれ!」
 越前守の合図で、二人はたいちの手を力いっぱい引っぱりました。
「いたい! いたい!」
 小さいたいちは、両方からグイグイ引っぱられて、ひめいをあげてなきだしました。
 そのとき、ハッと手をはなしたのは、おしずでした。
 おこまはグイッと、たいちをひきよせて、
「かった! かった!」
と、大よろこびです。
 それをみて、おしずはワーッと、なきだしてしまいました。
 それまで、だまってようすをみていた越前守は、
「おしず。おまえはまけるとわかっていて、なぜ、手をはなしたのじゃ?」
と、たずねました。
「・・・はい」
 おしずは、なきながらこたえました。
「たいちが、あんなにいたがってないているのをみては、かわいそうで、手をはなさないではいられませんでした。・・・おぶぎょうさま。どうぞおこまさんに、たいちをいつまでもかわいがって、しあわせにしてやるように、おっしゃってくださいまし」
「うむ、そうか」
 越前守は、やさしい目でうなずいてから、しずかな声でおこまにいいました。
「おこま、いまのおしずのことばをきいたか?」
「はいはい、ききました。もちろん、この子はわたしの子なのですから、おしずさんにいわれるまでもありません。うんとかわいがってやりますとも。それにわたしは、人のむすこをとりあげて、自分の子だなんていう、大うそつきとはちがいますからね。だいたい、おしずさんは」
「だまれ! おこま!」
 越前守は、とつぜんきびしい声でいいました。
「おまえには、いたがってないている、たいちの声がきこえなかったのか! ただ勝てばいいと思って、子どものことなどかまわずに手を引っぱったおまえが、ほんとうのおやであるはずがない! かわいそうで手をはなしたおしずこそ、たいちのほんとうのおやじゃ。どうだ、おこま!」
 越前守のことばに、おこまはまっさおになって、ガックリと手をつきました。
「もうしわけございません!」
 おこまは、自分がたいちをよこどりしようとしたことを、はくじょうしました。
「おかあさん!」
「たいち!」
 たいちはおしずのむねにとびこみました。
「お奉行さま、ありがとうございます。ほんとうに、ありがとうございます・・・」
 おしずは越前守を、おがむようにしておれいをいいました。
「うむ、これにて、一件落着!」

おしまい

他の記念日

ミニチュアの日
「ミ(3)ニ(2)」の語呂合せ。
ミニチュアや小さいものを愛そうという日。

中国残留孤児の日
1981(昭和56)年、中国残留日本人孤児47名が、肉親探しの為に、厚生省の招待で初めて公式に来日しました。
このうち29名の身元が判明しました。

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