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福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 8月の日本昔話 >人食い婆と、おつなの頭

8月11日の日本の昔話

人食いばばあとおつなの頭

人食い婆と、おつなの頭

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音声 創作活動のサイト 『Web団 零点』

 むかしむかし、あるところに、おつなという女と、その婿(むこ)が住んでいました。
 ある日、婿は仕事で遠くへ行く事になりました。
「なるべく早く戻って来るから、しっかり留守を頼んだぞ」
 婿が出かけたあと、おつなは一人でなわを編んでいました。
 するとそこへ見知らぬおばあさんがやって来て、おつなの編んでいるなわをいろりにくべたのです。
「なっ、何をするんだよ!」
 おつなが止めても、おばあさんは知らん顔です。
 そのうちに燃えてしまったなわの灰を、おばあさんはムシャムシャと食べ始めたではありませんか。
「!!!」
 おつなはびっくりして逃げ出そうとしましたが、体が震えて立ち上がる事も出来ません。
「ヒッヒヒヒ、そんなら、明日の今頃、また来るでな」
 おばあさんは灰だらけの口でニヤリと笑い、外へ出て行きました。

 次の日、おつなは怖くて仕事も手につきません。
 おばあさんが来る頃になるとカヤの実を三粒持って、二階のつづら(→衣服などを入れるかご)の中へ隠れました。
 やがて、おばあさんがやって来ました。
「おや、いないのか?」
 しばらくいろりのまわりを歩いていたおばあさんは、階段を登り始めました。
 おつなは、おばあさんを驚かそうとして、
 カチン!
と、カヤの実をかみました。
 おばあさんはその音に、ハッとして足を止めます。
「はて、何の音かな?」
 それでもおばあさんは、階段を登ってきます。
 おつなはもう一度、カヤの実を口に入れて、
 カチン!
と、かみました。
「なんだか、いやな音だね」
 でも言うだけで、足を止めようともしません。
 足音が、どんどん近づいてきます。
 おつなは怖くて怖くて、息がつまりそうです。
(お願い! あっちへ行って!)
 おつなは思い切って最後のカヤの実をかんで鳴らしましたが、もう、おばあさんはびくともしません。
「ふふふ、におうぞ、におうぞ」
 おばあさんは二階に来て、そこら中をかぎまわりました。
(ああ、もうだめ!)
 おつながつづらの中で手を合わせた時、がばっと、ふたが開いたのです。
「おおっ、いた、いた。今日は、お前を食いに来たよ」
 おばあさんはおつなを引きずり出すと、足からムシャムシャ食べ始めて、あっという間に体のほとんどを食べてしまいました。
 でも不思議な事に、おつなは死なずにまだ生きていました。
「ああ、うまかった。残りは、明日にとっておこう」
 おばあさんは頭だけになったおつなを戸棚の中へしまうと、ゆっくり家を出て行きました。

 次の日の朝、そんな事とは夢にも知らない婿が家に戻って来ました。
「おつな、今帰ったぞ。・・・おい、おつな!」
 いくら呼んでも、返事がありません。
「おかしいな」
 家中を探しても、やっぱりいません。
「それにしても、腹がへった」
 そう思ってなにげなく戸棚を開けてみると、なんとおつなの頭が棚にのっていて、うらめしそうにジッとにらんでいるのです。
「うえっ!」
 びっくりした婿が転がる様に逃げ出すと、おつなの頭がコロコロと転がって来て、婿の胸にかぶりつきました。
 婿は仕方なくおつなの頭をかかえたまま、外へ飛び出しました。
 するとおつなの頭が、言ったのです。
「お前さん、わたしを置いて逃げるつもりかい?」
「と、とんでもない! お前は、おらの可愛い女房だ!」
「そんなら、わたしにご飯を食べさせておくれよ」
 婿は仕方なく人に見えない様におつなの頭を抱いて宿屋へ行き、二階に部屋を取って料理を運んでもらいました。
 おぜんの前に座ったとたん、おつなの頭がおぜんの上に飛び降りて、
「さあ、食べさせておくれ」
と、口を開いたのです。
 いくら可愛い女房でも、気味が悪くてがまん出来ません。
「かんべんしてくれ!」
 婿は、いきなりおつなの頭におはちをかぶせて上から帯をまきつけると、そのまま階段をかけ降りて、いっきに外へ飛び出しました。
「お客さん、何事ですか?」
 おどろいた宿屋の人が追いかけようとしたら、二階からおはちをかぶせられた女の頭が転がってきます。
「お、お化け!」
 そう言ったきり、宿屋の人は気を失いました。

 おつなの頭は宿屋から転がり出て、婿を追いかけました。
「た、た、助けてくれー!」
 婿は叫びながら、必死に走り続けます。
 どこをどう走っているのか、まったくわかりません。
「お前さーん! お前さーん!」
 おつなの声が、すぐ後ろから追ってきます。
「もうだめだ!」
 はっと気がつくと、目の前に菖蒲(しょうぶ)とヨモギのはえた草むらがありました。
 婿は夢中で、その草の中へ倒れ込みました。
 すると、どうでしょう。
 草むらの前まで追って来たおつなの頭が、くやしそうに、
「くそっ! 菖蒲やヨモギさえなかったら」
と、言って、もと来た方へ転がって行ったのです。
「やれやれ、助かった。それにしても、菖蒲やヨモギが魔除けになるのは本当だったんだな」
 婿は、ほっとして立ちあがりました。
 そして菖蒲とヨモギをたくさん取って帰り、家の窓や戸口にさしておく事にしたのです。
 おかげで人食い婆も、おつなの頭も、二度と家へはやって来ませんでした。

 今でも五月五日に菖蒲やヨモギを軒下にさすのは、人食い鬼や魔物を追い払う為だそうです。

おしまい

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