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 3月22日の小話
 
 剣術指南(けんじゅつしなん)    《剣術、お教えいたします》と、書いたかんばんをかけてある、家がありました。
 さっきから、かんばんをじっと見ていた、若い男が、つかつかと中に入っていって、
 「どんな流儀の剣術でもけっこうですから、わたくしに、剣術を教えてください」
 と、弟子入りを申し出ました。
 中から出てきた、家の主人が、
 「さては、おまえさまは、外のかんばんを、ごらんになられましたな?」
 と、聞くので、
 「いかにも、さようでございます」
 と、答えると、家の主人は、頭をかきかき、
 「これは、内緒だがな、あのかんばんは、実は、泥棒よけのかんばんじゃ。ああしておけば泥棒が怖がって、来ないだろ」
 ♪ちゃんちゃん(おしまい)
   
 
 
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