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7月29日の日本の昔話

しっぺ太郎

しっぺ太郎

 むかしむかし、一人の旅のお坊さんが、ある村を通りかかりました。
 ふと見れば、田植え時だというのに、誰一人、田で働いている者がいません。
「どうしてじゃろう?」
 不思議に思っていると、その村の庄屋(しょうや)さんの家の前に大勢の村人たちが集まって、何やらヒソヒソと話し合っています。
「はて、何じゃろ?」
 お坊さんが近づいてみると、家の中から泣き声が聞こえてきます。
 そこで、お坊さんは側にいた年寄りに聞いてみました。
「この家の人は、どうして泣いていなさる?」
「これはこれは、旅の坊さま。実は今朝方、庄屋さまの家に白羽(しらは)の矢がたっておったのですよ」
 話を聞いてみると、この村では毎年田植え時になると、十五才になる娘のいる家へ白羽の矢がたつのです。
 そして白羽の矢がたった家の娘は、秋祭りの晩に氏神(うじがみ→土地に住む神さま)さまへ人身ごくう(ひとみごくう→人間をいけにえにすること)として差し出すことになっているのです。
 そしてもし差し出さないと、次の年は大風が吹いて、村中の作物が、みんな吹き飛ばされてしまうと言うのです。
「何と言う事だ! 氏神さまと言えば、村の難儀を救うものと決まっておるはず。これはきっと、氏神さまの名をかたる、悪い化け物の仕業に違いない。よし」
 その夜、お坊さんは氏神さまを奉ってある山へ登っていきました。
 そして、とりいの陰にそっと身を隠して、夜のふけるのを待ちました。
 やがて真夜中になると、どこからともなく生臭い風が吹いてきました。
(この臭いは、けものか?)
 お坊さんが息を殺していると、お堂の前に、いきなり黒い影が浮かび上がりました。
(あれは一体?)
 お坊さんが暗闇に目をこらしていると、その黒い化け物が薄気味悪い声で歌いながら、踊り出したのです。
♪でんずく、ばんずく、すってんてん。
♪この事ばかりは、知らせんな。
♪丹波の国へ、知らせんな。
♪しっぺえ太郎さ、知らせんな。
 やがて夜が明けると、化け物の姿は消えてしまいました。
「はて、あの化け物は、丹波(たんば→京都と兵庫のさかい)の国にいる、しっぺえ太郎に知らせんなと言っていたな。恐らく化け物の弱点は、丹波のしっぺ太郎だろう。・・・よし、丹波の国へ行って、しっぺえ太郎を探さねば」
 そしてお坊さんは、急いで庄屋さんの家へ行くと言いました。
「ええか、わしはこれから丹波へ行って、秋の祭りまでには、しっぺえ太郎を連れて戻るから、気を落とさんと待っておれよ」
 そしてお坊さんは、丹波の国へ旅立ちました。

 そして丹波の国へたどり着くと、
「もし、人捜しをしておるが、しっぺえ太郎というお人は知らんかな?」
 お坊さんは、あっちの村、こっちの町と、毎日足を棒にして探し歩きましたが、誰に聞いても、みんな首を横に振るのです。
 そのうちに、時間はどんどん過ぎていき、明日はいよいよ秋祭りです。
「これだけ探しても、まだ見つからんとは」
 お坊さんは肩をガックリ落として、道ばたに座り込んでしまいました。
 すると向こうの方から、ウシみたいに大きな黒犬が、のっそりのっそりやってきました。
 そしてそのすぐ後から、お寺の小坊主がやって来て、
「こら、しっぺえ太郎。早く戻って来い、しっぺえ太郎」
と、言うのです。
「しっぺえ太郎とは、イヌだったのか!」
 小坊主に聞いてみると、その黒犬はお寺のイヌだと言います。
 お坊さんは、さっそくそのお寺に駆け込んで、和尚(おしょう)さんに頼み込みました。
「これこれ、こういう訳だから、どうか、しっぺえ太郎をお貸し下され」
「ええとも、ええとも。人助けなら、喜んでお貸ししよう。しかし秋祭りなら、急がないと間にあわんぞ。ほれ、しっぺえ太郎に乗って行きなされ」
 和尚さんがしっぺえ太郎にお坊さんを乗せると、しっぺえ太郎は風の様に走り出しました。
 野を越え、山を越え、夜通し走り続けたしっぺえ太郎は、次の日の夕方には、庄屋さんの家にたどり着いたのです。
 庄屋さんの家では、何の頼りもないお坊さんの事は、すっかりあきらめていました。
 そして娘に白むくの着物を着せ、白おびに白たびをはかせると、家の前に白木(しらき)の長持(ながもち→衣服・調度などを入れて保管したり運搬したりする、長方形でふたのある大形の箱)を整えていました。
 そこへお坊さんがウシの様に大きな黒犬に乗って戻ってきたので、村人たちはビックリしながら集まりました。
「さあ、みなのしゅう。もう安心じゃ。この黒犬こそが、丹波の国のしっぺえ太郎じゃ」
 お坊さんがそう言うと、娘が入るばかりになっていた長持の中へ、しっぺえ太郎が入って行きました。
「なるほど、しっぺえ太郎が身代わりだ」
 村人たちは、その長持をかつぎあげると、山の氏神さまへと登っていきました。
 そして氏神さまへ着くと、村人たちはお堂の前に長持をおろして、我先にと逃げ帰りました。
 そこで、お坊さん一人が、とりいの影に隠れて、
「さあ、化け物め、今に見ておれ」
と、化け物が出てくるのを今か今かと待っていました。
 しばらくして、あたりの木の枝がざわざわとゆれ、どこからともなく生臭い風が吹いてきました。
 そしてあの黒い化け物が、踊りながら現れたのです。
♪でんずく、ばんずく、すってんてん。
♪この事ばかりは、知らせんな。
♪丹波の国へ、知らせんな。
♪しっぺえ太郎さ、知らせんな。
 化け物は飛び跳ねるようにして、長持のまわりを踊ります。
 そして踊り終えると、長持のふたへ手をかけました。
「今だ、しっぺえ太郎!」
 お坊さんがそう言うと、長持のふたがバン! と、跳ね飛んで、中からしっぺえ太郎が飛び出しました。
 しっぺえ太郎と化け物は、一つにからみあって、転げ回りながら闘います。
 その闘いは一晩中続き、しっぽえ太郎と化け物のうなり声は、村のすみずみまで届きました。
 やがて一番鳥が鳴いて、東の空が明るくなってくると、あれだけの激しかった騒ぎがピタリと収まりました。
 庄屋さんを筆頭に、村人たちが山の氏神さまへ登ってみると、何とお堂の前には年を取った大ザルが、しっぺえ太郎にのどを噛み切られて死んでいたのです。
 その横では、傷だらけになったしっぺえ太郎が、息を荒げて横たわっていました。
 一晩中、しっぽえ太郎を応援していたお坊さんも、疲れ切って、とりいの影に座り込んでいます。
「ああ、ありがてえ、ありがてえ」
 庄屋さんと村人たちは大喜びして、しっぺえ太郎とお坊さんを村へ連れて帰りました。
 そして、お坊さんとしっぽえ太郎を手厚く手当てすると、
「あなた方は、この村の恩人じゃ。どうぞ、いつまでもこの村へ留まってくだされ」
と、お願いしたのですが、お坊さんもしっぺえ太郎も元気を取り戻すと、丹波の国のお寺へと戻って行きました。

おしまい

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