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 11月21日の百物語(11月21日的日本鬼故事)
 
  
 重箱お化け
 膳盒精
 
 ・日本語 ・日本語&中国語
 むかしむかし、ある町のはずれに法華坂(ほっけざか)という急な坂があり、その坂の上と下に一軒ずつ茶店がありました。到好久以前、一條街的邊境處有條還法華坡的坡道、好陡峭、不管是坡高頭還是坡底下都有一條小茶館開到的。
 
 旅人がよく使う坂ですが、その坂に重箱(じゅうばこ→食物を盛る箱形の容器で、2重・3重・5重に積み重ねられるようにしたもの)の様な顔をした化け物が現れ、しゃべる時に重箱がパカパカと開くとのうわさが広まりました。
 這條坡雖講是遊人的必經之路、但是這裡有條膳盒精到、講話的時候蓋子就一合一開的、就傳到這麼個事到。
 
 町の人たちはその化け物を『重箱お化け』と呼んで、怖がっています。
 街上人都幫這條喊飯盒精、好怕他。
 
 ある日、町の人から重箱お化けの話を聞いた侍が、
 這事有天就傳到一個武士耳朵裡面去了。
 
 「重箱の化け物など、拙者(せっしゃ)が退治してくれよう」
 這就想試哈自己刀、幫別個妖怪弄了去。
 
 と、法華坂に行きました。
 特意的往法華坂去了。
 
 侍は腰の刀に手を掛けながら、今出るか、今出るかと、用心深く坂を登りましたが、坂を登りきっても何も出ません。
 武士一直就幫插到腰上的刀用手別到的、就等甚麼時候突然出來跟他抽一刀、但是幫坡都登頂了也是㫘看到有甚麼飯盒精到。
 
 「ふん、拙者が怖くて、出て来られんのじゃろう。・・・やい、重箱の化け物め! 出るなら出て来い!」
 違是著我駭到的、不敢出來了啊。飯盒精快出來讓我捅二刀!快出來!
 
 侍は怒鳴りましたが、やっぱり重箱お化けは出てきません。
 武士就邊走邊罵、還是一點反應都㫘得。
 
 「けっ、つまらん!」
 白跑一趟!
 
 侍は上の茶店に行くと、縁台(えんだい→木・竹などで作り、庭などに置いて夕涼みなどに用いる、細長い腰かけ台)に腰を下ろしてわらじのひもをしめなおしながら言いました。
 武士走到了坡上的茶店、邏了個長凳一坐、再就幫草鞋的帶子捆緊起來。
 
 「おい、おかみさん。おかみさん」
 老闆老闆
 
 「はーい」
 到
 
 「おかみさん、何か温かい物を食べさせてくれんか」
 跟我搞點巴(熱)的東西來吃。
 
 「はい、はーい」
 馬上馬上
 
 茶店のおかみさんは、向こうをむいたまま返事をしました。
 老闆背對到這就答應了。
 
 侍は近くにあった茶わんに自分でお茶を入れて、お茶を飲みながらたずねました。
 武士看到邊上有個茶碗就撿過來自己倒茶吃、就開始打聽了。
 
 「おかみさん。ここらに重箱の化け物が出ると聞いたが、今でも出るかな?」
 老闆、他們講的這裡的飯盒精現在還出來啵?
 
 「はい。重箱お化けですね。時々出ますよ」
 有的有的、現在還是時不時出來一哈。
 
 「ほう、出るかね。そいつは、お目にかかりたいもんだ」
 還有是吧、我這正準備邏他。
 
 すると、おかみさんは後ろ向きのまま侍に近づいて、
 武士這麼一講、老闆就背對到武士過來、離武士越來越來了。
 
 「いいですよ。重箱お化けに会わせましょう」
 那這就不讓你邏到了啊
 
 と、いきなりクルリと、侍の方を向きました。
 老闆一個轉身。
 
 そのおかみさんの顔が大きな重箱の様に、まっ四角で、顔には目も鼻も口もありません。
 一看臉、方的、和條飯盒樣的、眼睛鼻子嘴巴口、都㫘得。
 
 そして口の辺りがパカッと開いて、
 這就嘴巴位置附近那裡一開。
 
 「こんなもんです。ベーッ」
 看、這就我、我就是飯盒精。
 
 と、真っ赤な長い舌でアカンベーをしました。
 這就一根好長的長舌頭從裡面一吐、做出條鬼臉。
 
 「うわーっ!!」
 我日日日日!!
 
 びっくりした侍は退治をするどころか逃げ出すのが精一杯で、茶店を飛び出すと転がる様に坂をかけおりて行きました。
 武士這莫講取刀據他了、駭得個屁滾尿流、馬上飛奔、出來茶店、連滾帶爬滾到坡底下去了。
 
 そして坂の下にある茶店に飛び込むと、ハアーハアーと息を切らせて柱につかまりながら、そばの縁台に腰を下ろしました。
 這就到了坡底下的茶店、扶到根柱子喘大氣、這就又到店子裡面邏了條長凳一坐。
 
 よっぽど怖かったのか、ひざがガクガクと震えています。
 人這還㫘緩過來到㥬。
 
 やがて深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、侍は茶店で働いている女の人に声をかけました。
 這就坐到凳子上面那麼幾分鐘、人恢復了、對到茶館裡面女夥計喊。
 
 「たった今、重箱の化け物を見てきたぞ! いやはや、重箱の化け物とは、恐ろしい顔であったわ」
 就講自己剛剛看到飯盒精了、幫自己駭了個卵卯翻天。
 
 「重箱お化けですね」
 是飯盒精啊
 
 「ああ、その重箱の化け物だ。しかしお前さん、あんなに恐ろしい重箱の化け物が出るこんな所で働いて、恐ろしくはないのかね?」
 對、就是那條傢伙、你到這麼危險的地方做事、違都一點不怕了啊?
 
 「いいえ、ちっとも」
 一點都不怕
 
 茶店の女は、振り向きもせずに答えました。
 這條女的也是講話不回頭的類型、背對到的。
 
 「そうかい。だかそれは、重箱の化け物を見た事がないからだ。あれを見れば誰だって」
 那就是因為你㫘親眼看到他有好恐怖、只要碰到過一次就甚麼都懂了。
 
 「あら、知っていますよ」
 我曉得好吧。
 
 そう言って茶店の女は、くるりとこちらを向いて言いました。
 夥計幫話講完、對到武士就是身子一轉。
 
 「だってあたしも、『重箱お化け』ですから。ベーッ」
 因為我就是飯盒精啊、
 吐舌頭做鬼臉。
 
 「ギャアアーー!! 重箱の化け物だーーー!!!」
 我日日日日!!又是你!!
 
 侍は飛び上がるとすごいはやさで町へ逃げ帰り、法華坂には二度と近寄らなかったそうです。
 武士拔腿就跑、到了街上面、這以後連法華坂都不敢靠近第二次了。
 おしまい结束
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