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8月25日の世界の昔話

いつまでも友だち

いつまでも友だち
フランスの昔話 → フランスの国情報

 むかしむかし、プリメルとエヴェンという名の、二人の男の子がいました。
 いつもいっしょの、大の仲良しです。
 プリメルはゆたかな農家の息子で、エヴェンはそこに住みこみでやとわれていました。
 あまりにも仲良しなので、二人をひきはなすのは死にわかれしかないと、だれもがおもっていました。
 でも、二人のあいだでは、さきに死んだものがあの世のようすをしらせに、かならずもどってくると約束ができていたのです。
 プリメルがさきになくなったのは、秋のおわりでした。
 埋葬(まいそう)のつぎの晩、エヴェンはねむらずに、
(プリメルはどうしているのかなあ? ほんとうにあいにきてくれるかな?)
と、ジッと目をあけてまっていました。
 ま夜中ちかく、ヒタヒタと中庭にききなれた足音がしました。
(そら、きたぞ!)
 そして、かるく戸をたたく音が三回して、なつかしい声がきこえます。
「ねむってるの?」
「ねむっていないよ、プリメル、きみをまってたんだ」
「それじゃ、おきてこっちへきてよ」
 エヴェンはおきあがって戸をあけ、プリメルをみておどろきました。
 まっ白いマント姿です。
「いまは、こういう服しかないんだ」
と、プリメルがいいます。
「かわいそうなプリメル、いまはどこにすんでいるの? どんなぐあいなの? くるしんでいるのかい? それともしあわせかい?」
「・・・ぼくについてきて、そうすればわかるよ」
 二人はしずかに、ちかくの池にむかいました。
 池までくると、プリメルがいいました。
「服をぬいで、はだかになるんだ」
「どうして? どうして服をぬいではだかになるの?」
「ぼくといっしょに、池の中にはいるためさ」
「だってひどくさむいし、ぼくおよげないよ」
「心配いらないよ、おぼれやしないから」
「・・・うん。約束だから、きみがつれていきたいとこなら、どこへでもついていくよ」
 二人は池にはいり、水の底へとむかいました。
「ずっと、ここにいなくちゃいけないの?」
と、エヴェンが聞きました。
「ぼくがいるあいだはずっとね」
と、プリメルが答えます。
「でもさむいよ、それに息ぐるしくってたまらないよ」
「ぼくだってさむいし、きみの三倍もくるしいんだ。きみはかえったっていいんだよ。でも、きみがここにいてくれれば、そのあいだだけ、ぼくのくるしみがやわらぐんだ」
「きみをみすてたりするもんか! でも、いつまでこうしているの? ものすごくくるしいよ」
「朝のお告げのかねがなるときまでだ」
 お告げのかねがなると、プリメルは友だちを水の底からひきあげ、池の上にぶじにつれもどしました。
「服を着て家にもどるんだ。今晩もおなじころむかえにいくよ。もしきみがほんとうの友なら、ぼくと池の底でもうひと晩すごしておくれ」
「きみをみすてたりはしないよ。どこへでも、きみのつれていくところへついていくよ」
 死んだ友は水の中へもどり、エヴェンはおもい足どりで家へもどりました。
 夕方、畑からもどったエヴェンは、食事もとらずに、はやばやとねどこに入ります。
 ま夜中になると、中庭をあるいてくるプリメルの足音がして、小屋の戸を三回たたく音がきこえました。
 二人はだまって池にいくと、服をぬいでまた池にはいり、まえの晩とおなじように朝まで水の中にいました。
 朝のお告げのかねがなると、プリメルは寒さにふるえて死にそうなエヴェンを池の上までつれもどしていいました。
「三度目の試しにたえる勇気(ゆうき)があるかい? ぼくのすくいがかかっているんだ」
「口にできないほどつらいけど、死ぬまできみをうらぎらないよ」
「ありがとう。今晩むかえにいくのが最後だ」
 プリメルは池にもどり、エヴェンは死ぬほどつかれて家にもどりました。
 昼間は畑にでてはたらきましたが、みるもあわれなようすです。
 三日目の夜、主人が家畜小屋(かちくごや)のウシをみまわるために、ま夜中におきました。
 月の明るい夜で、死んだはずの息子のプリメルが、エヴェンとつれだって中庭をいくのが目にはいりました。
 主人はビックリしてたちすくみましたが、そっとあとをつけてみました。
 二人は、池でとまります。
 しげみにかくれてようすをうかがっていた主人は、二人がはだかになって池にはいるのをみました。
 どてまでちかづいてみると、水の底から話し声がきこえてきます。
「さむいよ、くるしいよ」
 エヴェンがいったら、
「がんばって、これが最後だから」
と、プリメルの声がします。
「いつまで、こうやってくるしまなくちゃいけないの?」
「お告げのかねのなるまでだ」
「それまでもたないよ」
「がんばってエヴェン。もうちょっとのしんぼうだ。そうすれば、きみはぼくのために天国の門をひらいてくれるんだ。じきにきみも、いっしょになれるよ」
 プリメルの父親は、朝までその場にくぎづけになっていました。
 夜明けにお告げのかねがなると、光につつまれた天使(てんし)が、空から池へとまいおりてきました。
 天使は両手にひとつずつ、うつくしい金のかんむりをもっています。
 水の底から、天使がプリメルにつげる声がきこえました。
「さいわいな子よ、ためしのときはおわった。神さまがわたしをおつかわしになったのだよ。幸福(こうふく)のかんむりをさずけ、おまえのために天国の門がひらかれているとつたえるためにね」
 つづいて天使は、エヴェンにむかってつげました。
「最後まで友だちをうらぎることなく、友の救いに力をかした子よ、おまえは死んでも友とはなれることはない。いまから家にもどり、すぐとこにつくがいい。おまえはくるしむことなく、ただちにやすらかな死をむかえ、天国の友のもとにいくであろう」
 天使はプリメルの手をとって、空にまいあがりました。
 エヴェンは、かがやくかんむりを頭にのせて農場にもどり、とこにつくとすぐになくなりました。
 こうして二人の友だちは、生きているときとおなじように、死んだあとも天国で仲良くくらしたのです。

おしまい

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