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福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 11月の日本昔話 >サルの顔はなぜ赤い 
      11月30日の日本の昔話 
          
          
         
サルの顔はなぜ赤い 
岡山県の民話 → 岡山県情報 
      
       むかしむかし、ある山に、一匹のサルが住んでいました。 
        「腹がへったな、何か食べ物はないかな?」 
 サルが里へ行くと、おじいさんとおばあさんがおもちをついていました。 
「もちをついて神さまにお供えすれば、わしらはもっともっと長生きが出来るぞ」 
「そうですね。長生きするのは、良いことです」 
 サルは木のかげからもちつきを見ながら、何とかおもちを手に入れる方法はないかと考えました。 
 ふと見ると、近くの木の葉にアマガエルがいました。 
「おい、アマガエルどん。お前、もちを食いたくはねえか」 
 サルが言うと、アマガエルはうなずきました。 
「ゲーコ。食いたい、食いたい」 
「そうか。それじゃ、わしの言う事をきけよ。もちをたくさん、食わせてやるからな」 
「ゲーコ、きく、きくぞ。どうすればいい?」 
「簡単じゃ。 
 お前は家の裏へ行って、赤ん坊の泣くまねをするんじゃ。 
 あのじいさんとばあさんは、前から子どもを欲しがっていた。 
 子どもの泣き声を聞くと、すぐに飛んで行くだろう。 
 そのすきに、わしがうすごともちをいただいて来るから、後で山分けすればいい」 
「ゲーコ。なるほど、なるほど。それなら、赤ん坊の泣き声の、まねをしてくる」 
 アマガエルは、ピョンピョンと家の裏へはねていくと、 
「ほんぎゃあー、ほんぎゃあー」 
と、赤ん坊の泣きまねをはじめました。 
 カエルにしては、なかなかに上手です。 
「おじいさん。赤ちゃんの泣き声がしますよ」 
「本当だ。誰かが、子どもをすてていったのかもしれん」 
 おじいさんとおばあさんは、大急ぎで家の裏へ見に行きました。 
「しめしめ。うまくいったぞ」 
 サルは大喜びで木のかげから飛び出すと、おもちの入ったうすをかついでやぶの中にかくれました。 
 そしてやぶの中でつきたての熱いおもちをフーフー言いながら食べていると、アマガエルがやって来て言いました。 
「ゲーコ。山分けだ。わしにも、食わしてくれ」 
 アマガエルはそう言って、うすに飛び乗りましたが、すぐにサルが手で払いのけました。 
「うるさいな、あっちへ行け!」 
「ゲーコ。山分けのはず。山分けのはず」 
 アマガエルは何度もうすに飛び乗りますが、その度にサルが手で払いのけます。 
「あっちへ行け! このもちは、全部おれの物だ」 
 サルがブンブンと手を振っていると、その手の先についた熱いおもちがうすから飛び出して、サルの顔にぺたりとはり付いてしまいました。 
「わあーっ、あち、あち、あちちちちちち!」 
 サルは顔をやけどして、顔がまっ赤になってしまいました。 
 
 その時からだそうです、サルの顔が赤くなったのは。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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